私のメモ帳 の一番最初に書いてあること-


「人の幸せが大嫌い」


今日はB美のお話。


人事課の私のもとに、ある女性社員が寿退社するから手続きを行うように指示が入った。
彼女は30歳、相手が地方に転勤になったので、結婚してついて行くことにしたらしい。
何ともおめでたい話祝日


彼女は誰にでも優しく、清潔感の漂うキレイなお姉さんタイプ。
私は彼女にはさんざんお世話になっていたので、もう会社で会えなくなると思うとちょっと淋しかったが、本当に嬉しかった。
手続きをしながら、いろいろと話を聞いた。
「挙式は?」
「新婚旅行は?」
「どうやって知り合ったの?」
「プロポーズの言葉は?」
彼女は少し顔を赤くして話してくれた。

その照れた姿が本当に可愛らしく、幸せになって欲しいと心から思い、私は思わず涙ぐんでしまったしょぼん


彼女が寿退社するという噂が社内全体にすぐに広まった。
社員の一部で、お金を出し合って何か贈り物をするという案が出たプレゼント
私も参加することにした。



そんなみんがお祝いムードの中、それをぶち壊す人が出現した。


B美である。


先を越されたのが気いらないのであろう。
本当に人の幸せが嫌いである。


「地方になんか、よくついていくよねぇ。」

給湯室で誰かに愚痴っぽく言っていた。


B美にも贈り物に参加しないかと持ち掛けたが、


「いい。」


即答で不参加NG



彼女は勤務最終日に、社内挨拶周りで忙しそうだった。
「お世話になりました。」と一人ずつ丁寧に頭を下げて周っていた。
みんな、「お幸せに。」とか、「今までありがとう」など、労いの言葉を掛けていた。
私は餞別にハンカチをプレゼントした。



彼女がB美のところに行ったときである。
「本日付で退職することになりました。」
彼女がB美に言った。


「知ってる。」



B美がパソコンに向かったまま、言った。
「お世話になり、ありがとうございました。」


「お疲れ様でした。」


B美は最後まで彼女の方に顔を向けることもなかった。



・・・「知ってる」って。
おめでとうくらい言えないのはてなマーク
最後なのに、顔すら向けないのはてなマーク



人の幸せを心から喜べない人は、その人も幸せになれない、と思った。