降り麻雀にしても、過酷な弱肉強食のルールに泣いた。

麻雀というものを自分は中年になってから始めた。始めたというより『やらされた』というべきか。当然、ヘタクソで、点数などいまだに数えられない。なぜなら、指折り数えている間もなく、周囲に何点だよといわれてしまうからだ。

猛烈に早い麻雀で、自分がパイを捨てるともう一順して自分が捨てる番になっているという具合だった。当然、負けてしまうのだが不思議とビリには滅多にならなかった。ひたすら降り(逃げ)ているからだろう。

ある時、『なんで麻雀にはハンディがかないの?』と聞いてみた。しかし、誰もこの話には乗ってこない。不思議な顔をして自分を眺めただけだった。付き合い麻雀だから、負けてちょうどいいのだが、それにしても、不公平なものだと思った。


運に左右されるが、長くやれば、結局、負ける奴は何時も負ける。


そう思っている時、自分よりずっと若い相手が『ハンディなど必要がないよ。麻雀の勝負は運に左右されるからね。でも、長くやっているとやっぱり上手い奴が勝つ。負けてむしられる奴は、結局、たいがい同じヤツになる。それがまた愉快なのさ』と笑っていた。これは、勝負事。しかも、終わればお金が動く真剣勝負だ。

それに比べれば、素人のゴルフにはハンディという実力を調整する仕組みがあって、よほど平等な競技だと思う。ハンディを沢山貰っているのはヘタな人で、上手い人ほどハンディが少ない。ハンディ15人は一周(ラウンド)して打ったスコアから15を引いたものが、競技の成績にしてくれる。


80より85で回った人が勝つというゴルフの平等なルール


だからハンディ5の人とプレイした場合、この人が80で回っても3オーバー(72に対して)、ハンディ15の人が85で回れば2アンダー(同)と計算されて勝ったことになるのだ。

また、ゴルフはラウンドする時も後方にいる人が先に打つから上手い人が待ってくれることになり、下手な人も上手い人と一緒に回って一緒に終わることができる。『弱い奴からむしり取れ』と弱肉強食が当然の麻雀とは、全く違う競技だ。

さすがに、紳士の国イギリスで生まれたスマートな競技である。もし、社会生活がこんなに平等なルールになっていたら、差別が生む世の中の問題はほとんど無くなるだろう。


勝敗だけでなく実力相当の表彰が行われるゴルフの競技会


しかも素人の競技会(コンペ)の場合は、ハンディはあるものの、『ベストスコア賞』とか『ブービー賞(一番したから2番目)』をはじめとするいろいろな賞を設けて、その時の実力にふさわしい待遇を受けられるようになっている。

社会生活でも、こんなルールと表彰が行われれば面白いことになるのではないか。だが、現実はそんなに甘くはない。むしろ、麻雀のように、運に恵まれた人や勝負強い人が社会の恩恵を独占しているのが現状だ。


持てる者がますます強く、貧しい者がますます困窮する資本主義


資本主義社会では、持てる者がますます豊かになり、貧しい者はますます苦しくなるようにできている。そのため、これを調整する制度として所得税が累進課税になっている。つまり、所得の多い人ほど多額の税金を納めることにしてあるのだ。

これを経済学的には『国民の富の再分配機能』と呼んでいる。所得の多い人からそれなりの多額の税金を徴収していれば、たしかに『富の再分配』が行われるはずだ。ところが、日本の税制は『所得の再分配機能』を十分に果たしていない。


格差社会の原因は所得税制が間違えているからだ。


現在、深刻な問題になっている格差拡大は、ひとえに所得税制の誤りが原因になっている。もちろん、この外にも格差を膨張させる原因はあるが、現行の所得税制は、一目瞭然、詳しく見るまでもなく非常に歪んでいるのが分かる。これでは、累進課税とは言えないではないか(以下は次回)。


尾張の54万石に対して3倍の領地があった美濃が57万石。


ところで、日本では土地の私有は認められていなかった。土地、つまり領地はその地域を支配している領主のもので、人々は土地を借用しており、そのために年貢を納めるのである。戦国時代でも、織田信長が上洛して実質的な京都の領主になると、信長は『お騒がせしたので町衆の地代を1年間免徐する』というフレを出している。

最近デジタル出版された『信長の天下布武物語(2)美濃七年の攻防』では、美濃を平定した信長が服従してくる土豪たちから土地の産出量を自己申告する場面が書かれている。賃借料を取るためである。

美濃の領地は尾張の3倍もあったが、未開拓地が多く、祿高では尾張の54万石に対し美濃57万である。『国力』としては大差なかったのだ。これを信長は、道路整備が原因だとしている。信長は道路整備に力を入れた部将だった。


なお、詳しくは、http://book.geocities.jp/booksnozomi/ へお立ち寄り下さい。