プンプン財政赤字の主犯は所得税だ!

ようやく官首相も所得税を見直すと言い始めた。最初からそう言えば問題はなかったのだ。日本の税制は、長く続いた自民党政権によって、安定政権の強みで自分勝手な、つまり金持ちや高額所得者(つまり自分たち)に有利な税制に歪められてきた。

これは、税収比率をみても明白だ。10年前に税収に占める所得税の割合は26%だったが、現在はわずか12.8%になっている。不況による所得の減少も含まれるが、その間の消費税の収入は、4.6%から10.5%増えているのである。

今、官首相が値下げすると言っている法人税は、18.4%から13.1%に減少しており、これ以上減らす必要があるのかどうか、大いに疑問だ。(平成2年→18年比)


ニコニコあの田中首相が作った最高税率75%の税制

テレビ討論で、社民党の福島瑞穂党首は、「最高税率75%の時代もあった」と述べたが、それは、約35年前の1974年から10年間実施された所得税である。

この年、2年間続いた田中角栄内閣が、特捜部にロッキードから収賄したとデッチ上げてられて、突然、首相がダークホースだった三木武夫に変わった。しかし、この税制は同年(昭和49年4月)から実施されているので、田中内閣による税制である。

とにかく綿密な累進課税になっている。ずい分前に、この税制と現在の粗雑な税制を比較したことがあるが、もう一度、最高税率75%の累進課税がどのようなものだったか、見てみよう。

60万円以下=10%  400超=24% 1200超=46%

 60万円超=12〃  500  =27  1500  =50 

120万円超=14    600 =30   2000  =55   

180    =16    700  =34   3000  =60 

240    =18    800  =38   4000  =65

300    =21   1000  =42   6000  =70

                          7000  =75

消費税のなかった時代でもあったが、最低税率が10%というのは何となく厳しい。だが、これは、その後、2007年に195万円以下に5%となるまで一つの目安になった。


それはともかくとして、この税率表をみていると、累進課税をなんとか公平にしようという熱意が感じられるではないか。


パンチ!ずさんで出不公平な現在の税制。

例えば、単純計算だが、年収6000万円と7000万円では手取りが50万円した違わない。1000万円と1200万円も手取りは60万円になっている。これをどのようにして算定したのか、また、あの成り金王でもあった田中首相が、どのように考えて決めたのか、なかなか興味深いものがある。

物価や金銭価値が違うとは言え、現在の6段階で最高税率が1800万円に40%の税制は、ズサンなだけではなく、著しく不公平な設定になっている。今は、何がなんでも消費税を上げなくては気が済まない、と思っている人がふえているようだ。

しかし、問題は所得税にあるのである。日本は税制が間違っていたために、財政赤字が900兆円近くにふくらみ、国民の資産(現金)が1400兆円も溜まってしまったのだ。この事実をちゃんと見つめて、抜本的なきめの細かい税制改革を行ってほしいと思う。