先日のまち子先生に続いて、さゆみ先生の椎間板ヘルニアのケース発表です。ケースレポートを作成して下さいました。
完全麻痺で深部痛覚が無くなり1ヶ月後からの治療スタート。排尿障害もありました。かなり重度です。
この頃、ちょうどさゆみ先生とまち子先生が漢方講座受講中で授業の際に質問がありました。
飼い主さんは、動物病院を二軒まわり、ネットで針の出来るさゆみ先生を探して受診にきてくださいました。ご家族にとっても大切にされているワイヤーダックスのピーチちゃん。五歳半の女の子です。
他の病院では一生介護生活と言われたそうです
初診の時から漢方薬を併用して、針治療を開始。
電気針打ちまくりです
そうそう、この間、ChiのXie先生の授業を受けていた時にお話しされてましたが、針が抜けやすい場合は、テープで留めてしまうと良いとのことでした。
さゆみ先生のケースもぺたぺたとテープがついてますね。Goodです
3回目の治療で、後肢の反射がわずかに見られました。こうなると、チャンスはぐっと高くなりますね。
4回目の治療で、排尿前に鳴いて飼い主さんに知らせることができるようになってきました。おしっこしたい感覚が戻ってきたんですね。後肢にも力が入るようになってきました。背中の痛みもずいぶん軽減してきました。
5回目の治療で自力排尿あり。背中の痛みもずいぶん減ってきました。
6回目の治療で排便時に排便姿勢を取れるようになり、後肢の反応もかなり良くなりました。
ここまで来ると先が見えてきますね。やったー、もう少し!
8回目で反射も戻ってきて、9回目には自力で排便・排尿ができるようになりました。
11回目の治療では、走れるようになりました。踏み直り反射もできるようになりました。
12に回目の治療の時には普通に走り回れるようになり、後肢の動きも良好。
ケースのまとめ(さゆみ先生のレポートよりそのまま引用):
椎間板ヘルニアによる重度の後躯麻痺と、排泄障害を伴う症例で、初診時、両側の深部痛覚も確認できなかった。西洋医学的には、深部痛覚が消失して24時間を超えると回復が極めて困難、であったと思うがこの症例は、すでに発症から1か月近くが経過しており、回復は極めて困難ではないかとと思われた。
飼い主様の強い希望で始めた鍼治療ではあるが、結果として、1か月半を過ぎるころから、目に見えて改善し、2か月過ぎるころから歩行ができるようになり、並行するように排泄機能も回復し、3か月半を過ぎて1か月ぶりに来院した時には、駐車場を走り回っていた。
一生介護、と宣言されていたにもかかわらず、このような結果が出たのである。
感覚を取り戻すまでは、週2回程度と詰めて治療をしたこと、電気針の機械を2台使って積極的に電気をかけ続けたのがよかったのかもしれないが、手術なしで、しかも発症から1か月を経過したGrade5の椎間板ヘルニアが鍼と漢方だけでここまで改善できるとは正直、驚きだった。
まだ若く、回復力にあふれていたことと、火の性格で反応が良かったということが幸いしたとは思うが、それにしても改めて鍼と漢方の素晴らしさを認識できた症例だった。
飼い主様からのお手紙も大切に取っておられて送ってくださいました。
こういうお手紙、本当に獣医師としてうれしいですよね。
気持ちが伝わります。ありがとうございます。
さゆみ先生が院長を務めるはるる動物病院は、山口県の長門市にあります。
最初に私のところで受講を希望された際に、ご自身も股関節に疾患があり、動物の痛みは身を持ってわかるので何とか針でよくしてあげたいとのことです。本当に愛にあふれる先生です
先生の一生懸命さと、大きな愛がピーチちゃんを治癒に導いたのだと思います。
そんなさゆみ先生も最初からずば抜けて鍼治療ができたわけではなく、最初は試行錯誤
中獣医学という今まで習ったことが無かったコンセプトに、「あ~わからない」と嘆いたこと、数知れず・・・本人は忘れちゃったみたいだけどね~
Chiのコースを受講後、続けて漢方コースを受講され、今では、ほぼ毎日何らかのケースに漢方薬を処方するようになったそうです
この間の講義の際にも、関節炎や痛みの治療にはほとんど漢方!とおっしゃっており、受講生の先生方も興味津々で先生のお話を伺っておられました
いわゆる西洋医学の痛み止めと言われるお薬は、術後の疼痛管理や、怪我などで痛みが著しい数日間だけ。
さゆみ先生も漢方の方が副作用の心配もなく、処方する方としても安心して出せるとのことでした
本当にもう、漢方なしではいられない、さゆみ先生です!
はるる動物病院ホームページ:
http://www.haruru-ah.com/
これからも、ケースの報告楽しみにしています