せんせいのいちにち | グロセん

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さんねーん びぃーぐみー

今日の朝いち、

教室にいくと

Aさんがやってきて

「せんせいー、昨日こわいことあってん」

というので、話をきくと、

何やら下校中に

見知らぬ6年生の男の子に

後ろから自転車で通りすがりに

唇をべろって手でさわられた

とのこと。



「怖くて夜も眠れなかってん。

今日もこわいねん。どうしたらいい?」



とブルブルふるえながらいってきました。



ショッキングな内容なものの、

同じ学校の子だし、ちょっとしたいたずらかなと思いつつも

まずはその子を安心させないとなと思い、


教頭先生や6年生の先生に話をし、

休み時間に6年生の写真をみせたり、

6年生の階にいって、その男の子をさがしにいくことにしました。



給食も昨日怖くてあんまりねてないせいか、

胃がいたくなったようなので

保健室へ行かせました。



すっかりもう給食はたべれないと思い、

おかわりしたい子にあげたら、

あとで保健の先生がきて、

給食たべれそうなので保健室にもっていきますといわれて、

「あ、これ残しとかないとダメでしたか?」

「え?あ、いえ、あ、じゃあもう仕方ないですね。」

「あーすいません。じゃあこれしか残ってないですけど僕のもってってください。」

となんだか大慌て。




そして、昼休み、

その子をつれて6年生の階へ。

廊下を歩いていると、

その子が立ち止まり

ブルブルふるえながら指差した子がみつかったので、

その子に話をきかせてもらいに放課後きてもらうことに。



放課後、

教室にきたその男の子はもう半泣き状態。

「(Aさんをみて)この子覚えてる?」

「うん。」

「なんで覚えてる?」

「昨日ぶつかった」

「ぶつかった?どんな風にぶつかったん?」

「ポケットから手をだそうとしたときに、ポケットに手がひっかかって

ムリヤリ手をひいたらあたってん。」

「ポケットから手をだそうとしてぶつかったんかい?」


「うん。」



というのでAさんに

「後ろからきたからわからんかったんやな。

Aさんに何かしようと思ったわけじゃないみいやで。

わざとじゃないんやて。」


「うん。」



「よかったな。これで安心や。勘違いやったな。」


「うん。」


とみるみる笑顔になってるAさん。



「ぶつかったときにすぐあやまってたらこんなことにならんかったな。」

と男の子にもいって

無事それは解決できました。



あまりにも怖がってたので、

今週いっぱいは一緒に下校してあげないといけないかなとか

いろいろ考えたりしたのですが、

あっけない結末にひと安心。



しかし、放課後、研究授業の討議会がおわったあと、

1月、クラスで「クツかくし」があって以来、

毎日、クツ箱を自分で見に行くようにしてるんですが、



まさか

クツがない!




しかも、前と同じ被害者の子、Bさんのクツが

片方ないんです・・・。




学年の先生に伝えて、

一緒にクツをさがしてもらいます。



学校の中もみつからないので

通学路も探します。




前クツかくしがおこったとき、

クラスのみんなで探し、クラスのみんなに話をしました。

心配して怒ってたおうちの人ともたくさん話をしました。

もう2度とおこってほしくない、

そんな気持ちであれからやってきたのに、

またクツかくしがおこってしまった。




なんでだろう?

何がダメだったんだろう?

自分の学級経営に自信を失い、

子どもを信じたいのに信じれなくなったり、

そんな自分をせめたり、

おうちの人になんと謝ったらいいんだろう、

できるなら本人が気づく前にみつかってほしい

とか

いろんなこと考えながらクツをさがしてました。



あたりも暗くなり、ついには雨までふりだしました。

ずぶぬれになりながら、一緒に探してくれてた学年の先生方に

「すいません。もう戻りましょう。ありがとうございます。」

といって一緒に職員室にもどりました。



とりあえず、

休み明け、本人がびっくりしないように、

みつからなかったけど

前もっていっておいた方がいいと思い、

おうちに電話をすることに。



やっぱり

「こんなことが続いたら、学校いかせれないです。」

「これを伝えて本人が学校いきたくないっていったらいかせませんから。」

とお叱りの言葉をいわれて電話をきられます。




自分でもわからない。

なんでまた起こったのかわからない。

クラスのことちゃんと見えてないのかな?


くやしい。

ほんとに申し訳ない。




そんな気持ちで職員室でへこんでると、

電話がなりました。


「クロセせんせい、Bさんのおうちからです。」



電話にでると


「せんせいすいません!!

今、うちの子に確認したら、

放課後あそんでたらよごれたからって

本人が持って帰ってました!」




って!




おい!




こら!




おい!






でも、


それを聞いて、






「そうですか!!

よかった!

ほんとによかった!」





大声で

電話に叫んでました。



電話をきると、

職員室の先生たちがよってきて



「なんじゃそれー!

なんでよりによって片方だけ!しかもBさんが!


でも、


よかったね!」



って。





ほんとによかった。



子どもをやっぱり

信じていいんだって

思えて

ほんとによかった。





こんな先生の1日が、

いったい子どもの何に

なるんだろう。

授業みたく

役に立つ何かを教えてるわけじゃない、

ただ、

子どものほんのささいな1日に

先生がふりまわされただけ。



でも、

それでいい。

こんな先生がいたってどこかに残ればいい。


それが高望みなら

こんな先生がいたって残らなくても、

誰だったか忘れたけど

自分のことを考えてくれてる人がいたって事実が残ればいい。



それも高望みなら

何があったとか全部忘れてもいいから

でもなぜだか自分を大切にする子になってくれたらいいや


って、


投げやりなのか

熱いのか

わからないけど、

そんなことおもった1日でした。