1042) 突然ですが問題です【日本語編168】──詰める 詰ます 詰む 辞書 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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【問題】
 下記の【参考サイト】を参考に、「最後のツメ」の「ツメ」に関して答えなさい。

【問1】
 このツメの語源を、将棋用語と考えるのは妥当でしょうか。

【問2】
 将棋用語として、下記の1)~3)のなかで不適切なものを選びなさい。
1)相手玉が詰む
2)相手玉を詰める
3)相手玉を詰ます

【参考サイト】「市販に向けてデザインのツメも進んでいる」のデザインのツメってどういう意味でしょうか。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11111532841 





【解答?例】
【問1】
 妥当とは思えない。

【問2】
 2)

【よくわからない解説】
※当方の書き方はいささか断定的かもしれない。一般論として、根拠が曖昧なときほど、こういう書き方になる傾向がある。(←オイ!)
「玉を詰める」も「詰めがある」も、言う人は言うみたい。
 個人的にはどちらも強い異和感があるので使わない。でもそういうふうに言う人もいるらしいから、ムヤミに断定するのはやめます。
 ……反省中。


「デザインのツメ」のような用法の「ツメ」の語源は何か。いつもの語源辞典にはのっていない。そうなると、信頼できるものが何もない(泣)。
 珍しいことに、Web辞書に出ていた。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=つめ&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=12477400
================引用開始
つめ【詰(め)】
1 詰めること。また、詰めるもの。「瓶の口に紙で―をする」
2 はし。はじっこ。きわ。「橋の―」
3 将棋で、決着のつきそうな最後の段階。転じて、物事に決着をつける最後のところ。「―が甘い」「捜査が―の段階に入る」
4 「御詰(おつめ)」に同じ。
5 《「振り袖(そで)」に対する「袖詰め」の意から》年増の女。
「枕のお伽が御用ならば、振袖なりと―なりと」〈浄・丹波与作〉
================引用終了

 不思議なことに、『大辞泉』『大辞林』の両方を積んでいるはずのnifty辞書だと、それらしいものが何もヒットしない。
http://dictionary.nifty.com/search/result?q=つめ&r=all&t=0&x=22&y=22

 それはさておき、『大辞泉』の「3」に堂々と出ている。なら問題がない、と考えたいけど、どうにも異和感がある。辞書の記述に対して主観だけでインネンをつけるなんて、よほどのことがない限りしてはいけない。でも疑問を感じたんだからしょうがない。
 ちょっと将棋をかじったことがある人ならわかるはず。以下、煩わしいので「王」とは呼ばず「玉」で統一する。
 将棋の決着がつく状態のことを、「玉が詰む」と言う。相手の玉を仕留めることを「玉を詰ます」「玉を詰ませる」と言う。しかし、「玉を詰める」とは言わない。理由はわからないけど言わないんだからしかたがない。
 例外的に「詰め将棋」とは言う。正確には「詰まし将棋」と言うべきかもしれないが、慣例だからしかたがない。「詰め将棋」の手順の多寡を示すための用語は「○手詰め」。これは「○手詰み」も許容範囲だろう。
  将棋で「詰め」の段階と言うか否か。まず言わないと思う。最終段階だと「詰むや詰まざるや」などと言うが、「詰め」とは言わない。「詰み」まで読む、とは 言うけど、「詰め」まで読む、とは言わない。「詰みが生じた」とか「詰みがある」とは言うが、「詰めがある」なんて言わない。

 では「ツメ」とは何か。話し合いなどを進めることを「話を詰める」と言う。
 さらに押し進めることを「話を煮詰める」とか言う。これを「行き詰まる」の意味で使うのは典型的な誤用。
 それの名詞形が「ツメ」で、さらに進むと「大ヅメ」じゃないのかな。そのほうがよほど素直な気がする。


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