彼は私の・・・ | お気楽ごくらく日記

お気楽ごくらく日記

白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

読みに回っていましたら、素敵な企画発見!!

Bubble Showerのピコ様宅で開催されてるこちら。

Please kiss me~○○なキスを私にして~

なんか、趣旨から激しく外れてる気がしなくもないですが、気にせず←オイ
参加してみました。

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚


「その男性(ヒト)に触らないで!」

突然、響き渡った声に笑いさざめいていた場は水を打った様に静かになった。

今まさに、敦賀蓮に酔ったフリをしてしなだれかかろうとしていた吉野あざみは、舌打ちした。
吉野あざみは清純派女優として売り出しているが、男をとっかえひっかえする事でも有名で連日マスコミやネット界隈を賑わせている。
狙った男を落とすまで手段を選ばない事でも業界内に広く知れ渡っている。

そして、この度めでたくもなく蓮が吉野あざみのターゲットになってしまったのである。

けれど、一人の少女にしか関心のない蓮は持ち前のスルースキルをフルに活用し、吉野あざみからのモーションをかわし切り、蓮の頼れるマネージャーの社もドラマの撮影中はなるべく蓮と吉野あざみが2人きりにならないように細心の注意を払っていた。

が、今夜のクランクアップしたドラマの打ち上げの席でまさか狙い済ましたように吉野あざみが蓮の隣の席に座りしなだれかかってきたのである。

蓮と社がどうしたものかと思案している所に、冒頭のセリフが響き渡ったのだった。

興味津々で自分を見る周りにお構いなしに、声を発した本人は真っ直ぐ蓮の下まで歩いて行った。
そうして、おもむろに彼女は座敷に座っている蓮の襟首をグイッと引っ張ると、自分の唇を蓮の唇に押し付ける様にキスをした。

声の主である、最上キョーコらしくないその乱雑なキスに、蓮は驚いた顔をした。
二人が付き合い初めて約半年。
年上の蓮よりもはるかに理性的なキョーコがまさか自分から蓮にキスをしてこようとは夢にも思わなかった。ましてや衆人環視の中である。
蓮と2人きりの時でさえキスをするのを恥ずかしがり、2人が付き合いだしてからキスをした回数はほんの片手に余るほどである。
真っ赤な顔でうつむいてるキョーコに蓮は優しく問いかけた。

「キョーコ、どうしたの?」

「あ・・・・あのモー子さんが・・・・」

その一言で蓮はピンと来た。
吉野あざみの黒い噂など、色事に疎いキョーコは知る由もないが、恐らくその事を知っているキョーコの親友の琴南奏江がキョーコに忠告したのだろう。
キョーコに余計な心配を掛けさせたくなくて、わざと蓮と社は吉野あざみの事を黙っていたのだが、それが裏目に出てしまったようだ。
内心、余計な事をと蓮は奏江に毒づいたが、唇がほんの少し触れるだけのキスとは呼べないようなものであっても、キョーコ自らが蓮にキスをしてくれたのだ。
その喜びの方が上回った。

「うん。ごめんね。心配させて。」

蓮の言葉にキョーコはブンブンと首を横に振った。

「いい・・・んです。私の方こそ、まだ色々慣れてないから敦賀さんに随分我慢させてるの分かってるんです。けど・・・」

敦賀さんは私の恋人なのにっと思ったら、居ても立ってもいられずにノコノコとこんな所まで来てしまってごめんなさい、と蓮にしか聞こえないような小声で謝った。
自分の仕出かした事を恥じているのだろう。いまだに真っ赤になってるキョーコに愛しさが募った。

「俺は我慢なんて何一つしてないよ?」

ひどく甘ったるい声で蓮がキョーコに答えると、キョーコはがばりと顔を上げて本当ですか?と訊いた。

完全に蓮とキョーコが二人きりの世界を作り出しているのに痺れを切らした吉野あざみは2人の間に割って入ってきた。

「ちょっと!私を無視して何を話してるのよ!!」

蓮はキョーコを抱きしめたまま、視線を吉野あざみに向けると一言言い放った。

「何って、恋人同士の語らいだけど、それが何か?」

「恋人?嘘でしょ?そんなお子様が?ねぇ、京子ちゃん、悪い事は言わないわ。敦賀君を私に譲って頂戴?あなた、まだ確か未成年でしょう?敦賀君を肉体的に満足させられないと思うの。」

キョーコの事を貶めるような事しか言わない吉野あざみに、流石の蓮もキレて怒鳴りつけようとしたが、それよりも早くキョーコが口を開いた。

「私は想いが重いばかりで、キスをするのですらいつも躊躇ってしまうけど、けれど敦賀さんを想う気持ちは誰にも負けません!か・・・体の関係も怖くて今一歩踏み切れないけど、それでも敦賀さんは私のものなんです!!」

どうやら、キョーコはキョーコで蓮と付き合うに当たって色々と思い悩んでいるらしい。
けれど、蓮は性急にキョーコと肉体関係を持とうとは全く思っていなかった。
蓮と肉体関係を結ぶ事に怖いと思うのは致し方のない事だと思う。
その際に負うリスクが、男性よりも女性の方がはるかに重いのだ。しかもキョーコはまだ未成年ときている。どれだけキョーコがしっかりしていようとも、それを受け入れるには相当な覚悟が要るはずだ。
だから蓮は、キョーコの心と体の準備が出来るまで待つ事に決めている。
それよりもキョーコと過ごす時間を大切にしたかった。

正直に言えば、蓮とて健全な成人男性だから、意中の女性を前にして何度も理性の紐が引き千切られそうな思いをした事も数え切れない。
けれど、己の欲望よりも、キョーコと共に過ごす時間や空間がどれだけ自分を癒して満足させているのか、恐らくキョーコは気付いていない。

「俺が君のものだというのなら、全然足りないな。キョーコ少し口を開けてごらん?」

ひどく甘やかな声で蓮がキョーコに言うと、蓮は徐にキョーコの顎を持って上向かせ口付けた。
それも先ほどキョーコが蓮にしたものよりも激しいものを。
己の舌をキョーコの咥内に侵入させキョーコの歯列を丁寧になぞり舌を絡め、キョーコの体から力が抜け落ちるまで存分にキョーコを味わいつくした。

野次馬は大勢いたが気にならなかった。と言うより、蓮にとってまさに渡りに船だった。
最近、綺麗になってきたキョーコに堂々と言い寄り男もいて、蓮は気が気じゃなかったので、これで一気に馬の骨を退治できるのなら、願ったり叶ったりである。

「なっ・・・なっ・・・正気なの?京子ちゃんと付きあうと言うことは未成年者略取になるのよ!」

ワナワナと震えながら吉野あざみは言ったが、その背後から別の声が聞こえてきた。

「その件なら、ご心配なく。うちの事務所の顧問弁護士立会いの下、京子の保護者(的存在の方々)と二人が交際するに当たっての公正証書を取り交わしておりますから。」

社も蓮の援護射撃をすべくそう言った。実際のところ、そんな物全く取り交わしてなどいないのだが、この際関係ない。

「この際だからはっきり言っておくと、彼女以外俺の身体は反応しないので、これ以上付き纏われても迷惑だから。」

フェミニストで有名な蓮らしくもなくきっぱりと吉野あざみにそう告げると、

「し・・・・信じられない!!いいわ!!もう。こんな所、これ以上いたくないわ。マネージャー、帰るわよ!!」

ズカズカと足音も荒く吉野あざみが打ち上げ会場を後にするのを見送った後、蓮はキョーコに言った。

「今度、一緒のオフの時にちゃんと意味のある指輪を買いに行こう。」

そう言うと、蓮はチュッとキョーコの左薬指にキスを一つ落とすのだった。

《おわり》

原作をはじめ、馬の骨退治に躍起になる蓮と言うのはあちらこちらでお見かけしますが、キョーコが馬の骨退治に乗り出すのは珍しいかな?と思いまして書いてみました。

あれこれ書き込みすぎて、何が何やら訳が分からない状態になってますが、一応はキョーコさんが馬の骨を退治する話を書きたかったのです。