八部衆(2) | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

八部衆 』より。


ここで八部衆(はちぶしゅう)それぞれについて略述しておくと、次のとおりになります。


(*漢字変換できないものはひらがなで書いています。)



【天】
梵名デーヴァを漢訳したものです。仏教を守護する護法善神のうち天部の総称をいい、「・・・天」と名のつくものはすべてこれに属します。


【竜】
梵名ナーガを漢訳したもので、護法善神のうちの竜部族の総称です。古代インドのナーガ族の蛇を神格化した信仰(大海に住み、雲をよび雨を降らす魔力を持つと信じられていた人面蛇尾の半神)にさかのぼり、ナーガ族が仏教徒になった折に取り入れられて、護法善神になったと考えられています。


【夜叉(やしゃ)】
梵名ヤクシャを音写したもので、護法善神のうちの夜叉部族の総称をいいます。空中を飛行する鬼神です。


【乾闥婆(けんだつば)】
梵名ガンダルヴァを音写したもので、護法善神のうちの乾闥婆部族の総称です。古代インドにおいては、神々の飲料水である「蘇摩酒(そましゅ)」(ソーマ)の守護を役割としましたが、仏教に取り込まれてからは帝釈天の眷属として、歌舞音楽をもって仕えるとされています。


【阿修羅(あしゅら)】
梵名アスラを音写したもので、護法善神のうちの阿修羅部族の総称です。アスラとは本来、「天部にあらざるもの」の意味で、悪鬼の総称でありました。しかし、その悪鬼的性格が仏教に取り込まれてから、「毒をもって毒を制する」の意味をもって、護法善神に昇格したものと考えられています。


【迦楼羅(かるら)】
護法善神のうちの迦楼羅部族の総称です。迦楼羅とは梵名ガールダを音写したもので、「金翅鳥(こんじちょう)」、「食吐悲苦声(じきとひくしょう)」などと漢訳します。元来は鷲(わし)のような毒蛇を食らう猛禽類を神格化したものと考えられており、古代インドでは、雲をよび雨を降らす悪竜を常食とし、その姿は鳳凰より美しく、翼を広げると336万里にも及ぶと考えられて、妖災(ようさい)を除く神としての信仰がありました。仏教に取り込まれてからも、その性格は継承されています。


【緊那羅(きんなら)】
護法善神のうちの緊那羅部族の総称です。緊那羅は梵名キンナラをそのまま音写したもので、歌神、楽神と漢訳されています。元来、美しい歌声を持つ鳥を神格化されたものと考えられており、古代インドでは「雪山(せつせん)」(ヒマラヤ)に住み、妙音を奏で、諸仏菩薩あるいはすべての衆生を感動させた神とされていました。仏教に取り込まれてからは、毘沙門天の眷属として、その性格はそのまま継承されています。


【摩ご羅伽(まごらが)】
護法善神のうちの摩ご羅伽部族の総称です。摩ご羅伽とは、梵名マホラガを音写したものです。「大腹胸行(だいふくきょうぎょう)」・「大もう(だいもう)」などと漢訳されるように腹ばいで進んでゆく大蛇を神格化したものと考えられています。仏教に取り込まれてからは、音楽神の性格が与えられています。