訶梨帝母(鬼子母神) | Just One of Those Things

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訶梨帝母(鬼子母神)のサンスクリットの種字は「ウーン」。


真言は「おん どどまりぎゃきてい そわか」。


梵名は「ハーリティー」。


訶梨帝母(鬼子母神)は、子供の守護神となった鬼女神で、天部に属します。



「訶梨帝(かりてい)」は梵名の音写で、「訶利底」とも書きます。


別名、鬼子母神(きしもじん)ともいいます。



元来、鬼神・般闍迦(はんじゃか)の妻で、5百人あるいは1万人の子供を持っていたとされ、はじめは他人の幼児を捕らえて食う鬼女でありましたが、仏が彼女の子供の一人を隠して、子を失う母親の苦しみを悟らせ、以後改心して安産と子供を守護する善神になったといいます(『一切説根本有部毘奈耶雑事』)。



その像の形は、天女形で左手で懐中の幼子を抱き、童子に取り囲まれ、右手で吉祥果(ザクロ)をとって宝宣台に坐して右足を踏み下げるもの(『訶梨帝母経』)と、宣台に腰掛けるもの(『訶梨帝母真言経』)の2様があり、京都・醍醐寺三宝院の画像(12世紀)と滋賀・園城寺の彫像(13世紀)は前者を表した有名な作例であります。



なお、『法華経』では、「法華経を読誦し受持する者を擁護せんと欲す」との誓願を立てており、日蓮宗においては『法華経』の守護神として、また現世利益の神として、今日でも盛んに信仰されています。



ちなみに、近世以降、日蓮宗寺院において、総髪の鬼女が合掌して荷葉座に立つ姿に表される像がしばしば見受けられますが、これは改心の伝承や『法華経』における誓願を踏まえて、わが国・日本で案出されたものと考えられ、ことに千葉・中山法華経寺を中心に信仰がなされ流布したものであります。