昔、近所にチンさん(仮名)という中国人がいた。


チンさんは当時コンピュータエンジニア不足だったスウェーデンに、旦那さんと一緒に移住して来た奥さんだった。旦那さんはエンジニアとして入国後すぐに働き始めた。けっこういい給料をもらっていたようだったが、そこはスウェーデンのこと、税金を抜けば一家を養うほどは残らない。

そこでチンさんも収入の糧を得なくてはならなかった。


チンさんは当時小さな子供がいたし、中国で大学教育を受けたエリートだったということもあるが、収入が必要だからといってすぐに掃除やウェイトレスの仕事に飛びついたりはしなかった。まあ、飛びつこうと思っても、そのような仕事もやりたい人が多すぎてなかなかチャンスがないのであるが・・・。


チンさんはスウェーデンの社会制度について色々調べた。地元にいた中国人の友人もいろいろ情報を寄せてくれたのだと思う。彼女は職安の教育制度と大学の通信教育、失業保険制度を最大限に利用して、お金をもらいながら勉強し、コンピュータエンジニアになった。


運も味方した。その当時は職安が提供するコースがたくさんあったし、ITバブルのはじける直前でコンピュータの仕事がたくさんあった。2000年になり、ITバブルがはじけて多くのコンピュータエンジニアは職を失ったが、公的機関に勤めていたチンさんは安泰だった。


私はチンさんと知り合ったことで百冊の本を読む以上のことを学んだ。


いつもつくづく思うことなのだが、知らないということは多くのチャンスを失うことになる。

何かを得るために不当に高い代金を払ってしまったり、不当に低い賃金しかもらえなかったり。

これを回避することはけっこう簡単だ。


つまり自分でよく調べることである。

ネットで関連HPを調べたり、電話で問い合わせしたり、または同じような経験をした人にたずねてみたり。


よくネットの掲示板で、「・・・について教えてください」と重いことをさらっと質問している人がいるが、こういう方法はあまりいただけない。


まずは自分の力で調べてみよう。それでこそ本当に自分の欲しかった情報が見つかるというものだ。