岩泉 | Kura-Kura Pagong

Kura-Kura Pagong

"kura-kura"はインドネシア語で亀のことを言います。
"pagong"はタガログ語(フィルピンの公用語)で、やはり亀のことを言います。

 2016年8月30日、台風10号の襲来で岩手県岩泉町が重篤な被害を受けている。

 

 岩泉というと連想するのが龍泉洞だ。青く澄んだ地底湖で有名な龍泉洞だ。私は龍泉洞に行ったことが4回ある。そのうち、2回は入洞できなかった。初めての時は、3月。連休に向けて散策路を改修している、ということで入れなかった。4回目行った時は、2,3日前に降った大雨のせいで洞内が増水していて入れなかった。

 今度の台風で龍泉洞は浸水しているという。入洞口から水が川のように溢れ出している写真を見て驚いた。この洞窟、地底湖を眺められる地点まで行くのに、入洞口から結構な高低差のところを降りなければならないのだ。そんなところから水が溢れ出すというのは一体どれだけ雨が降ったのか?

 

 岩泉というと私は岩泉線も思い出す。山田線の茂市駅から分岐して岩泉駅に至るJR東日本の路線だ。特に観光客受けする路線ではなかったが、高台から車窓風景を楽しめる場所もあった。

 終点の岩泉駅は本当に寂しいところだった。龍泉洞へは歩いて30分以上かかったし、岩泉町の中心部からも離れていた。

 国鉄時代、岩泉線は国鉄再建法に基づく廃止対象からは外されていた。並行する道路が未整備だったからだという。だが、国鉄分割民営化から時が経って、ローカル線をめぐる情勢はさらに厳しくなった。

 2010年7月31日、落石が岩泉線の列車を襲った。けが人はいなかったが、その場で列車は運転打ち切り、岩泉線は運休となった。そして3.11震災で東北地方の鉄道路線の多くが被害を受けた中、岩泉線はひっそりと廃止になった。

 

 岩泉町には安家(あっか)という地域もある。龍泉洞から車で30分いったところにあるのだそうで、ここにも鍾乳洞があるのだが現在は公開されていない。この地区をテレビで取り上げていたことがあった。

 安家地区に嫁いでから長いこと暮らしてきたおばさんがテレビに映った。川べりの家に住む彼女は

「あたしは川と結婚したようなものだから。」

と笑っていた。彼女が娘だった時、この地区には水道がなかったようだ。川べりに住んでいれば生活用水はすぐ手に入る。当然家事労働の負担はよそより少なくなる。他にもこの地域では川べりに住むことで日常生活のメリットがあるようだった。

 今回の台風は安家川流域も容赦なく襲ったようだ。あのおばさんとおばさんの家族はどうしているだろうか。気になった。