アイドルグループ・SMAPが今年限りでの解散を発表した。そしていま、彼らの持ち歌である『世界で一つだけの花』がヒットチャートで順位を上げているという。
私はヒット曲というものに関心がない。『世界に~』が街中に流れ出した時、私はこの歌の歌詞に注意を払うことなく聞き流していた。しかし、伊藤悟という音楽評論家がネットで書いていた記事を読んで私はこの歌の意味を知ることになった。
同性愛者である伊藤は、同性愛者に対する世間の偏見をなくすための活動もしている。その彼にとって、『世界に~』は違う者同士が認め合う社会の実現を訴えるメッセージだったのだ。
私にとって印象に残る『世界に~』の歌唱は5人のイケメンのそれではなく、子供たちの歌唱だ。
ある文化交流イベントで、朝鮮学校初級部の子供たちがこの歌を合唱していたのだ。
それなのに僕ら人間は
どうしてこうも比べたがる?
一人一人違うのにその中で
一番になりたがる?
拉致だ、ミサイルだ、とマスメディアが報道するごとに、朝鮮学校の子供たちが暴力にさらされる。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の為政者が悪いからと いって、なんで子供たちの人格までが否定されるのか?在日コリアンに対する差別は無くならない。むしろ年を追って陰湿化している。そんななか、まずは自分 はひとりの人間なのだ、尊重されるべき人なのだ、と自分に自信を持たせようと、民族学校の先生は子供たちにこの歌を歌わせたのだ。
違いを認め合うことは難しい。世界のあちこちで、民族が違うから、宗教が違うから、と人々は殺し合っている。けれどもこんなことは絶対に止めなければならない。
『世界に一つだけの花』をヒット曲として消費するだけではもったいなさすぎる。