ニセイカウシュッペ山(南稜ルート)ー2014.5.26
ニセイカウシュッペ山(南稜ルート)ー2014.5.26 (単独)
ニセカウの南稜は迫力ある小槍・大槍を従え、誰が見ても魅力的な稜線である。
「北海道の山と谷」でも紹介されているこの稜線、自分にとっては近くて遠い存在だった。
今回、日帰りでこの稜線に挑戦である。
ルートは「北海道の山と谷」ではニセイノシキオマップ川沿いから・1241コル、或いは1558Pに上がる短縮ルートが紹介されている。
しかしここは尾根末端である層雲峡から朝陽山を経由しニセカウまでの長いルートに拘りたい。
稜線の状況は全く読めないため往路7時間で引き返す設定とし、復路は状況に応じて臨機応変にルート変更もアリとした。
層雲峡公共駐車場に車を置いて、パノラマ台への登山道を進む。
6日前にも偵察を兼ねて朝陽山に登っているが、この時と比べ物にならないほどに融雪が進んでおり驚いた。
山頂台地でようやく雪が出てきたが、今時期は1日ともいえない状況だ。
朝陽山山頂から見る石狩山地と雲海。
羆の痕跡が夥しい山頂台地。親子熊との遭遇だけは勘弁して欲しいものだ。
ニセカウへ続く南稜を望むと更に黒くなった印象を持つ。
それなりにヤブが出ているが、東面に残雪が見られ一安心。休む間もなく稜線を北上する。
高度を下げると雲海の下に入りガスに包まれる。稜線は思いのほか広めで残雪が続き歩きやすい。
アイゼンを装着し、急斜面に耐えると1558Pに到達する。
この1558PはEIZI@名寄氏とヤブ漕ぎで登ったことのある懐かしきP。(その時の記録 )
1558Pの稜線を振り返る。小槍までの稜線はやや細くなり、ヤブと雪渓のミックス。
昔日、層雲峡からニセカウにから登山道があったと聞くが、確かにその名残りを感じる場所も多くある。
稜線を塞ぐ小槍。
小槍基部まで到達すると、高度を上げすぎて西面に降りることが不可能となる。
覗き込むとかなりの断崖上に立っているようだ。
持っていたオマケ的な20mのロープでは話にならず、懸垂するなら40m以上は欲しいところ。
ここは一度稜線を引き返し、ヤブ漕ぎしながら高度を数十m下げてからトラバースに入る。
小槍直下のトラバース。植生はそれなりにあるので恐怖感はあまり無い。
うまく北側に抜けると再びヤブに迎えられる。
アイゼンを装着したままのハイマツ漕ぎやハイマツ渡り。
足を高く上げなければいけない場面も多く出て、履いている雨具のズボンに何度も引っ掛ける。
次第にあちこち裂けてズタズタに・・・・。
半端な季節は様々な状況に対応する必要があり、足回りや服装で非常に悩む。
今回はある程度のヤブ漕ぎを想定していたため、安価なヤブ仕様で固めていたのは正解だった。
特に重宝したのはホームセンターに売っている防寒防水グローブ。ヤブだろうが雪だろうが全く気にすることなくガシガシ掴めるのはありがたく、終始装着していた。
状況次第では簡単に雪崩そうだ。降雪後はトラバースではなく、大槍を登り切ったほうが安全と思う。
岩塔と荒井川越しに見る平山。奥に武利・武華。
ニセイカウシュッペ山頂。タイムリミット30分前に無事到達。
初めての大休止。山頂で大の字になりパンをかじりながら下りのルートを考える。
同じ稜線を戻るのは時間かかるため、荒井川を下り途中から朝陽山に登り返すルートととする。
大槍手前のコルから荒井川に向かって急斜面を下る。
標高差200mほどの一気の尻滑りは豪快!
以前アンギラス付近で雪崩が発生し、この沢に流され亡くなった女史の記事(注1)を思い出して合掌する。
淡々と荒井川を下る。左に小槍と奥にアンギラス。
広い地形のため渡渉せずに済んだのは助かった。
Co1040まで下ったところで再び尾根に取り付き、・1241の稜線に登り返すと自分の足跡が現れる。
羆に警戒しつつ今日2回目の朝陽山を乗越すと、途中パノラマ台にも寄る。
パノラマ台は相変わらずの高度感だ。ここからの層雲峡温泉街と山岳景観は一見の価値はあると思う。
後は今日の過程を思い返しながら、風の強くなった夏道を下って車着。
ほぼ11時間歩き通しであったが、予定通り層雲峡からニセカウを辿れた悦びに浸って帰路につく。
(注1) 下記HP、ニセイカアンギラスの雪崩参照