釜尻山ー三頭山 (五線川ー奥記念別川ー雨煙別川)ー2011.8.19-20 | 道北ヤブ山日記

釜尻山ー三頭山 (五線川ー奥記念別川ー雨煙別川)ー2011.8.19-20


天塩山地は夏季における記録は薄い。

特にピークハント目的の日帰り山行以外の記録を見ることはほとんどない。


今回はそんな未知のエリアを、沢から尾根、尾根から沢へと2日間歩いてみた。


ルートは幌加内町政和の五線川遡行ー釜尻山ー奥記念別川左股下降ー右股遡行ーP708-雨煙別川ー小平蘂山東面沢-三頭山西面直登沢ー夏道下降といった計画である。


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ヤブ被りの五線川遡行。視界が悪く、いつ羆と鉢合わせしても不思議ではない状況。

道北のこの手の沢の単独遡行は技術的なことよりも、強い精神力が必要と思う。

如何にこの鬱蒼とした雰囲気に気持ちで打ち勝つかである。


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沢はCo440で滝が3つ連続。特に3段目の斜滝は立派。

これらの滝の巻きに手間取り、1時間を要する。この際、ネマガリとの格闘で激しく消耗。サブロープも紛失。


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上部でもヤブと戦うと、すっきりした釜尻山頂に飛び出す。小平蘂岳へ続く南部主稜線を北望。

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南にはこれから向かう小平蘂山(右)と三頭山(左)が控える。


南西に向かって再び猛烈なヤブを下降し、奥記念別川左股へ。

一枚岩が主体の沢。370二股まで下ると、沢は開けて大きく水量も多くなる。


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奥記念別右股に入る。ここも一枚岩の沢相で、面白い流れのところもある。



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ちょっとした段差もペロッとした逆層の一枚岩で、結構手間取る。

巻くにも、岩に土が載っているだけなのでズリズリ滑る。


気づけば地下足袋が破れだし、未知の沢やヤブを控え気が気でない。

こんな奥地で完全に壊れてしまったら生きて帰れるか微妙である。

今日のうちに雨煙別川側まで行きたかったが、予想以上に消耗したため右股のCo600付近でテンとする。


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テン場は増水に耐えられる台地。蕗を倒してテン張る。羆がヌッと現れそうな雰囲気。


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焚き火で温まってのんびりする。



2日目。まず右股を詰めてP708へ。
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P708のヤブ。思ったほど酷くなかった。


雨が降り出したので急いでヤブ漕いで尾根を乗越す。沢形を見つけてしばらく進むと、足跡らしきものがあってなんか変?まさかと思いコンパスを出すと、なんと来た沢を戻っていることに気づく。愕然。尾根を越える時にヤブの中でコンパスでの確認を怠ったツケである。また引き返して2度目のP708越え。1時間以上のロス。



雨の中、雨煙別川530三股に辿りつくと、余計な荷物を置いて最低装備で小平蘂山に向かう。

水が切れると一番酷いネマガリ出現し、格闘。この頃から雨は一段と強くなり、雷まで鳴りだす始末。

増水も気になり、小平蘂山山頂まであと120mを残してここは無念の撤退とする。


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530三股に戻り、雨煙別川本流を下る。沢相を見ると、暴れた時は半端じゃないようだ。

450まで下り、今度は三頭山西面直登沢へ。


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出合いのすぐのところにかかる15mの滝。

その後も緩いところは少なく、グイグイと高度を稼ぐ。


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シダが鬱陶しくて足元が見辛かったりする。



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山頂へ着く頃はすっかり晴れ渡り、小平蘂山も良く見えていた。

先ほどまであの山腹で雷雨に見舞われていたとは嘘のよう。

まずまずのヤブ漕ぎで山頂へ。


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山頂標識は久々の人工物。釜尻山の稜線を遠望。


余裕があれば一線川を下降しようと考えていたが、そんな気力はなく、夏道を下る。

申し訳ないが登山口まで父親に迎えに来てもらい、今回の長かった沢旅を終える。


今回の行程では人の入った形跡はゼロ。テープ一つすら見ることはなかったのは予想通りであった。

ただ雨煙別川本流以外は熊や鹿といった動物の形跡も極めて少なかったのは意外である。

それだけ生き辛い環境なのだろうか。



追記2012/2 

この記録は岳人クロニクルに掲載

http://ameblo.jp/kunbetu/entry-11134776044.html