皆の衆、こう見えても「猫好き」として知られる男…島津義弘である。
長らくお待たせ致したな!
…いや、間隔が開きすぎて、もはや何のことかわからんという者の方が多いやもしれぬな…。
今年の五月、わしは暇を利用して我が郷里である薩摩に“ぷち里帰り”を致し、わしの縁の地を巡って参った。
これまで三度にわたって記してきた“ぷち里帰り”の記録、四度目の今回でついに完結となる!!
“ぷち里帰り”と聞いてもピンと来ないという者は、先に今年の五月の武録へ遡り、“ぷち里帰り其の壱~其の参”を読んで欲しい。
さあ、最終回に紹介するのは
(※注:この里帰りは今年の五月の話であり、写真もその時のものである)
なんと!
入口に入るとすぐに、わしが第二章で身に付けておった甲冑とほぼ同じものが飾られておるぞ!!
ここは『仙巌園(別名:磯庭園)』である。
この仙巌園はわしの孫にあたる第十九代当主の島津光久が造園した島津家の別邸である。
その後も歴代の当主により改築が行われ、第二十八代当主の斉彬や篤姫もこの庭園を大変気に入っていたそうじゃ。
それもそのはず…。
見よ!この雄大な眺めを!!
目の前には桜島、そして鹿児島湾(錦江湾)が広がり、島津家の当主達はこの景色を眺めながら酒を飲んだりしておったわけじゃな!!
こんな素晴らしい景色を見れば…
思わずこうしたくなる!!
もしかすると我が子孫達もやっておったかもな…。
庭園や景色も素晴らしいが、建物も見事であるぞ。
これは錫門(すずもん)と呼ばれており、屋根が瓦ではなく薩摩特産の錫でできておるのじゃ。
一段と目を引くのが、この鮮やかな朱色の門であろう!!
(ちゃんと丸に十字も刻まれておるぞ)
昔から朱色というのは高貴な者のみが使うことを許された。
そしてこの門をくぐることができるのは歴代の藩主とその世継ぎのみであった。
…わしは藩主じゃないけど、藩主の先祖だから通ってもよいよね!?
(当然、今では客人全員が通ることができるから安心されよ)
そしてこの仙巌園でわしから皆にお勧めしたいのが
見た目は特に変わったところもない小さき社じゃが、ここに祀られておるのは、わしが戦に連れて行った“猫”である!!
そう!
ここは全国でも大変珍しい“猫の神”がおるのじゃ!!
わしはある戦に七匹の猫を連れて行き、猫の瞳孔の開き具合を見ることで時間を計る、つまり時計の代わりにしておったのじゃ。
戦の中で生き残ったのは二匹だけとなってしまったが、その二匹が後にこの仙巌園で“猫神”として祀られておるのじゃ。
今では全国から愛猫家達が参拝に来るとのこと。
わしと同じく猫好きの者達よ!
仙巌園に初詣に行くのもよいかもしれぬな!!
もう一つ、これもお勧めしておこう。
チェストーーーーーー!!
薩摩に伝わる「示現流」と「薬丸(野太刀)自顕流」という二つの“ジゲン流”の体験ができる!!
皆もわしのように腹の底から「チェストー!!」と叫んでみれば、気分は爽快じゃ!!
仙巌園はまことに広く、見処もまだまだある。
土産物としては、これまた斉彬のお気に入りであり、篤姫の嫁入り道具の品にも加えられたという『薩摩切子(きりこ)』の美しさに目を奪われた。
この豪華な庭園で、薩摩切子に入れた酒を飲む…。
…斉彬よ!ちと羨ましいぞ!!
また時間のある時にゆるりと訪れたい場所である!!
此度、現在の仙巌園を管理しておる「株式会社 島津興業」の方々には大変お世話になり申した。
お忙しい中ありがとう御座りました!!
これからもどうぞよろしくお願いいたします!!
皆も仙巌園で島津家の魅力に触れてみらぬか!?
これにて、“ぷち里帰り”の話は終いである!!
…ふう、なんとか年内に最終回を話すことができてよかった。
これで心おきなく年を越せる!!
改めて今年も一年、お疲れ様じゃった!!
また来年もわが武録共々、熊本城おもてなし武将隊を応援よろしくお頼み申す!!
では皆の衆、新しき年にまた会おう!!
よき年を!!
島津義弘