ある日、樺の木ところへ、きつねがやってくる。
きつねは上品で話も面白く、
ふたりは天体の話題でもり上がり、
すぐに恋仲となる。
きつねは樺の木を喜ばせるために、
たわいもない嘘をついてしまう。
きつねは樺の木と別れたあと、
ついてしまった嘘の事で罪悪感を抱く。
土神も樺の木に好意を寄せるが、
きつねのように器用なことはできず、
きつねに対し嫉妬する。
後日、土神は平静を取り戻そうと
試みるものの、きつねが帰りがけに
土神への挨拶を忘れたために、
嫉妬が再燃して理性を失い、
狐を殺してしまう。
憎い狐を叩き殺してしまってから、
土神は自分の存在をおびやかしていた相手は、
2本のカモガヤの穂とハイネの詩集しか持たない、
虚言癖のある貧しい狐でしかないことが判り、
声をあげて泣き出してしまう。
恋心と嫉妬。
人は それを上手に 隠したり
生きる励みにしたり 悩んだりします。
生涯 独身をした賢治さんの
恋心は どうだったのでしょうね。