Charles Mingus『Changes One』 | kumac's Jazz

Charles Mingus『Changes One』

 チャーリー・ミンガスの晩年のオリジナルバンドの若いメンバー、ドン・ピューレン、ジョージ・アダムスが加入しての最初期の録音です。録音は1974年12月27日、28日、30日。
 ジャズのルーツを辿れば、奴隷時代の鬱屈の憂さ晴らしという、直接ではないにせよ「抵抗」という言葉で表現される精神のあり方があったのは、誰でもが承知のことでしょう。その精神をメッセージ性を持って明確にジャズという音楽において表現したミュージシャンは、チャーリー・ミンガス置いては他にいなかったような気がします。それは、曲のタイトルに現れるのですが、言葉だけで無く音楽性においても、強い表現力を有していました。マックス・ローチの主張する音とも違います。また、ドルフィーやパーカーの、何か黒い壁をぶち破ろうとする衝動的な音楽とも一線を画します。
 この作品で言えば、明確な主張を込めたタイトル「アッテカ刑務所事件のロックフェラーを忘れるな」よりも、2曲目の「スー・グラハムの変化(Sue's Changes)」にその特徴が強く表れています。この17分5秒という長い曲の持つ、メッセージ性のある各自のソロは聴き応えがあります。文字通りに「怒れるミンガス」という言葉が浮かんできます。それにしても、ミンガスの極太のベースソロは、いいですね。3曲目「Devil Blues」での、出だしの音、最高です。それに続く、ブルース演奏のオンパレード、アダムスも最高だし。トランペットのジャック・ウォルラスも最高です。この作品の中で一番に強烈でご機嫌な演奏となっています。

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