「ジャズと関わって、早30年、もう体に染み付いています。」なんて、書き始めたジャズ日記でしたが、1年半でもう、ネタ切れとなりました。これ以上、無理に土日の更新を続けると、書かなくていいことまで無理に書いてしまいそうです。そこで、ここらで小休止とやらにしたいと思います(いわゆるミクシィ症候群?)。でも、ジャズのことで、感動的なことがあったら、気ままに更新しますね。それに、今までの日記は、それなりにkumac的ジャズ・アルバム紹介となっておりますので、どうかご活用を。
 って、書いてもう4ヶ月くらい過ぎてますが、気分はまだ「小休止」です。でも、更新の頻度が何故か上がって来てます。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
2012-05-12 05:09:36

e.s.t.『301』

テーマ:2005-2009
 e.s.t.の公式の遺作となった「Leucocyte」と同時期にオーストラリアで録音された音源を元に出来上がった作品です。表題は、オーストラリアの録音スタジオの名前のようです。冒頭「Behind The Stars」は、エスビョン・スベンソンのピアノソロと言ってもいい作品です。バックに、ベースと電子楽器の音がしますが、それは死者への祈りの残響のように聴こえます。途中から入ってくる(ここで2曲目「Inner City,Cyty Lights」に移る)、時計のようなカチカチとした時を刻む音に、流れ込んでくるベースや拍音(造語です、息を吐く、心臓の鼓動という意味です。)やスベンソンのピアノの音は、過去に辿り着く、死者を想う儀礼とも言える切なさを持っています。自己の死を、自らが悼んでいます。この、刹那は一体どこから来るのでしょうか。身につまされる迫真の静けさです。彼方へと飛び出そうとしている、彼らの音楽の地平は、どこまでも続きそうで、突然と断裂しました。細胞が壊されるように、音が破壊されたのです。その、衝撃音の生き残った欠片を拾い集めてできた作品とも言えます。悲しさだけが、先行してくるようです。かなり、切ないです。この冒頭の作品1作だけで、現代は意味を失い、彷徨うばかりになったと言ってもいいでしょう。それほどまでに、中心点を失った音と言えます。どこかに収束しそうで、そうではなくて拡散している音です。放射する音に、帰巣はありません。あまりにも、惨い、残酷な響きです。
 3曲目「The Left Lane」は、オーソドックなピアノトリオ作品です。軽いハンマーのような投げやりな音の短な放物線が印象的な作品です。Dan Berglund のベースソロがたっぷりと楽しめます。
 4曲目「Houston, The 5th」は、シンセサイザーの衝撃音から始まります。この手法は、「Leucocyte」と同じだと思います。5曲目「Three Falling Free Part I」は、多分想像ですが、題名から察すると、フリーインプロビゼーションで作られた曲ではないでしょうか。次の6曲目も同じ題名で「II」とクレジットされています。悲しみを含んだ、等身大の人形を祭る儀礼のような、断念を生きる男の静けさののような、美しい曲です。これほどまでに、美しく着飾る必要はないよ、それだけで(巣のままで)十分だよと、言ってやりたいようなもったいない曲です。Magnus Ostromのドラミングは心に響く最高のソロです。それから続く「II」の演奏は、筆舌しがたいのです。これぞ、e.s.t.ですという、迫真の演奏です。やばいですね。
 これでクールダウンできるのかなと思ったのですが、その思いは果たせずに、ますますヒートアップしそうな気持ちです。この先、一体、どうしてくれるのでしょうか?

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村


301/Svensson Trio Est Esbjorn

¥1,353
Amazon.co.jp

最近の画像つき記事
画像一覧へ ]
2012-05-06 05:23:07

Christoph Erbstosser『Vive Les Etrangers』

テーマ:2000-2004
 ググると「精鋭楽団ブリュッセル・ジャズ・オーケストラの一員としても腕を揮い、ヨーロッパ一円の幅広い人脈の中で活躍してきたベルギーの若手ピアニストのトリオ作品」と出てくる。この作品の録音は、2001年だから、大分古い。でも、ちっとも古さを kumac は感じなかった。時代を超越した抒情を持っている。根源的な、音への心地よい感覚を持っているピアニストだと思う。
 メンバーは、Christoph Erbstosser の p、Jos Machtel の b、Dre Pallemaerts の ds だ。三者のインタープレーを楽しむというよりは、Christoph Erbstosser のとても、スイングして説得力あるピアノ演奏を楽しむという感じだろうか。それほどまでに、破綻を見せない、安定した演奏です。そして、スイング感が乱れない。なんとも聴き応えのある演奏です。とてもハッピーになれるジャズですね。楽しくて、嬉しくて、歓喜が訪れる、積極的な前向きの演奏です。それは、ジャケットに写る笑顔の子供達に如実に表れていると思います。そうか、そういうことを表現したかったのだなと、聴いた後で、思わせてくれる、とても気分良い作品です。
 9曲目「Kate's Song」の美しい叙情性が、なんとも筆舌しがたいものがあります。キラキラと、天使のような音の雫が降ってきます。いいですね。もっと、違う作品も聴きたくなります。kumac が一番好きな曲は最後にクレジットされている曲「See You Tomorrow」です。とにかく、作品全体に言えることでですが、未来に向かって希望をもてるような曲達です。その象徴が、この最終曲だと思います。この説得力のある響き、何事かを語りかけてくるような、親愛なる「人」の微笑ましさ。好きですね、こんな演奏。この、親しさのという抒情のあるメロディーを、そのままの感覚を維持しながら見事に展開(アドリブ)してゆきます。
 ジャズが食わず嫌いな方でも、十二分に好きになれる作品だと思うのですが、どうでしょうか。

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村

$kumac's Jazz-Christoph_Erbstosser

VIVE LES ETRANGERS-CHRISTOPH ERBSTOSSER[Import]/CHRISTOPH ERBSTOSSER

¥2,550
Amazon.co.jp

2012-05-04 05:51:10

Massimo Colombo『Salti Ed Assalti』

テーマ:1995-1999
 コロンビアのピアニスト、Massimo Colombo のピアノトリオ作品です。録音は、1999年。ベースにアメリカ人のStefano Cerri がエレキで入っています。ドラムは Walter Calloni です。初めてのミュージシャンの場合、どうしても知っているミュージシャンの音の印象を記憶から引っ張ってきて、その音の言語を理解しようとします。強烈な未知の個性を持った演奏にぶち当たることは、めったにないですが、そなんさ作業をしていると、本当にあるはずのそのミュージシャンの個性を見つけられないことがあるのかなと思います。だから、あまり先入観を持たずに、誰それの演奏に似ている、誰それの影響を受けているなどとはあまり考えに内容にして聴くことが必要だし、それがミュージシャンに対する礼儀かなと思ったりもしますが、言語が分からないと、どうも消化不良を起こしそうで、ついつい、音を自分の使い慣れている言葉に言語化してしまうのですね。
 それで、このマッシモ・コロンボの演奏は、さらっと一度聞き終えて、ミシェル・ペトルチアーニを思い出させてくれました。楽器の編成、特にエレキベースの存在が大きいのかも知れませんが、ラテン調の訛りといい、あまりブルージーでなく、クラシカルでもありポップな感じもあるところがそう思わせるのかも知れません。4曲目「Stay In The Bell」は、まさにポップな感じが、ミシェル・ペトルチアーニの雰囲気にそっくりです。ソロに入ると、そのテクニックの違いは歴然としますが、いい意味で軽い乗りの聴きやすい演奏です。タッチの速さも似ているかも知れませんね。さらに、演奏の盛り上げ方も。ディスクユニオンなどのCD通販のサイトを除くと、やはりその紹介文には、ミシェル・ペトルチアーニの名前が出てきます。自分の印象と同じだから、そうなんでしょうね。全11曲中、10曲がマッシモ・コロンボのオリジナルです。

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村

 SALTI ED ASSALTI/MASSIMO COLOMBO

¥2,500
Amazon.co.jp

2012-05-03 04:10:24

Casey Golden『Clarity』

テーマ:2010-2014
 オーストラリアの若手のピアニスト、ケーシー・ゴールデンの2010年2月25日、26日に録音されたトリオ作品です。冒頭の「Ready Ready Ready」、意表を突いてシンセサイザーの音が現れ、歯切れの良いピアノトリオの響きが聴こえて来ます。リズミカルにジャンピング&アタックしてきます。それが、急に耳鳴りのように、音が遠ざかり、また戻り、抽象的な音の響きを提示します。
 全体に音が硬質です。ちょっと高音域を高めに捕ろうとセッティングしている印象です。耳障りがちょっとします。ケーシー・ゴールデンのピアノさばきは、どこか e.s.t. のエスビョルン・スヴェンソンのそれに似ています。アコースティックな演奏ですがロック的な要素が十分に加味された演奏です。バンドとしての演奏も、真っ当なジャズではありますが、かなりメリハリがあって、ロック的です。2曲目「Twice Removed」を聴いても、かなりそう感じます。
 4曲目「Waiting」は、印象画風な、ちょっと色彩の余韻を残したメロディーとリズムからなる深遠な演奏です。何かを希求している音作りです。目指すものが明確に高みにありそうです。ここでも最後のピアノの連打は、高音域が強調されて、ちょっと耳障りですね。この音作りには、儚さを感じます。
 5曲目「All My Shirts Have Heroes On Them」は、物語風なメロディーの展開で始まります。語りかけるような音の出し方です。言葉が、流れるような美しい響きです。そして、ソロに入ると、次つぎと美しい音を拾ってゆきます。連打が多いですね。感極まると、こういう方向に行くのでしょうか。
 全11曲中、10曲がケーシー・ゴールデンのオリジナルです。まだ、e.s.t. の影響下にあるような気がしますが、ロック調の音使いと言い、モーダルなメロディー感覚と言い、現代の新進気鋭のピアニストの一人であることには違いないと思います。かっこよさは、十分に持ち合わせているピアノトリオ作品です。
 メンバーは、ケーシー・ゴードンの p 、Brendan Clark の b、Rob Turer の ds です。

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村

Clarity/Casey Trio Golden

¥2,623
Amazon.co.jp

$kumac's Jazz-casey_golden
2012-04-30 06:03:05

渋さ知らズ in ARABAKI

テーマ:ライブ
$kumac's Jazz-shibusashirazu_in_arabaki

 川崎湖畔の森公園で行われたロックフェスティバル「アラバキ」を聴いてきた。昨日、画像だけを載せたので、今日はその感想を感単に書こうと思う。

 まず、あれほどまでに若者に熱狂的に受け入れられているとは思わなかった。ロックフェスティバルなので、渋さ知らズ目当ての人はそんない多くはないだろうと思ったが、意外や、スタンディングゾーンは超満員だった。そして、みんな大声を上げて、手を振って、騒いで聴いていた。かっけいいいー!!という声が再三聴かれた。それは、自分にとってかなり意外だが、でも、うなずけるものもあった。ジャズと言うよりも、熱狂の渦(空間)を創り出すエネルギーが若者の持っているエネルギーとシンクロするパフォーマンスだと思った。

 で、とても楽しかった。興奮する演奏だったのだが、正直、ワンパターンだと思った。去年のお盆に、プロジェクトフクシマで聴いた彼らの演奏とうり二つだった。ジャズの持つ即興性はなかった。ちょっとはあった、誰かし知らないが、素敵なアルトサックスを吹いた兄ちゃんがいた、彼は、いいなと思った。その他は、使い回しだった。なんの発展性も、創造性も感じられなかった。感じたのは、熱狂的な歓喜だけだった。自分みたいなジャズの聴き方をする人間にとっては、渋さ知らズは、晩酌のビールのようなものだ。そのときに、気持ちが良ければ十分に満足だ。それが、第3のビールでも、かまいやしない。

 ジャズ的な要素と言えば、元ちとせの唄の方がよっぽど、場の即興性を持って創造的だった。彼女の唄は、アメリカで言えば、ノラ・ジョーンズみたいな感じだ。カントリー調が奄美の島唄調という点で違がっているだけで、ステージセットも、ウッドベースとドラム(それもパーカション主体)だけの地味なものだったし、ジャズの乗りで、言葉を島唄調のメロディーに載せる、その独特な唄い方がよかった。自由度のある、とても伸びやかで説得力のある唄だった。

 ロックの興奮を十分に満喫し、元ちとせという、範疇外(歌謡曲の歌手だとばかり思っていたから)のミュージシャンを再発見できただけでも嬉しかった。

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村

2012-04-29 09:37:59

渋さ知らズ アット アラバキ

テーマ:ライブ
photo:01

渋さ知ズ、朝の一発目。アラバキ



iPhoneからの投稿
2012-04-28 03:48:13

Dominic Miller『5th House』

テーマ:2010-2014
 ウィキペディアの情報だと、1960年ブエノスアイレス生まれ。アルゼンチン生まれで、10歳まで過ごす。父はアメリカ人、母はアイルランド人。その後、アメリカ、イギリスに渡って、バークレーでギターを勉強し、スティングのバンドのサポートメンバーなどをしていた人とのこと。そして「2003年発売の4枚目のアルバム『Shapes』は、バッハやベートーベン、エドガーおよびアルビノーニといったクラシック・ミュージックの要素をふんだんに取り入れた意欲作で、2004年3月に改訂して再発売され世界中で100,000枚を超えるヒットとなった。」とのことです。ジャズミュージシャンていうカテゴリーには入らないのかも知れませんが、演奏はインスツルメンタルで、ソロパートも多く、音楽への接近方法は、この作品に限れば、ジャズ的な要素をかなり持っていると思います。
 1曲目「Angel」は、その名のとおり、とても美しい生ギターの音色の曲です。キラキラと弦の響きが降り注いでくるような、素敵なメロディーと素敵な音色です。天使が舞い降りて、陽炎がきらめいている日に何事か秘密の約束を交わしているような、とても純麗な曲です。ソロでメロディーを奏で、キモの部分で重厚なベースとドラムの音が被さり、モーダルな色を加えます。この辺の、色彩の変化はとても鮮やかです。2曲目「Embrace」は、エレキギターのバッキングに生ギターの音を被せ、刹那を唄ったようなメロディーです。とても儚い夢のような、囁きです。ここでも、ベースとドラムが強烈なサポートを行っています。重々しい、ベースとドラムの音に乾いた生ギターの音色が、対照的で爽やかに聴こえて来ます。
 とても面白と感じたのは、5曲目「Tokyo」という曲です。多分日本の東京の印象を曲にしたものと思いますが、日本の歌謡曲の匂いがぷんぷんするのですね。日本の印象を、ここまで鮮やかに、写し取った演奏は、私は知りません。エキゾチックな雰囲気や、日本の曲のメロディーを使った曲はあるでしょうが、この曲はそういうものとも違います。とても、洗練された、印象画風の親しみやすい、日本の情緒を従えた、ちょっと粋な曲となっています。この感受性は面白いです。
 現代という時代を感じさせる音です。後世、この作品がどこまで存在意義を持つかについては、ちょっと考えてしましいますが、とにかく綺麗なギターの響きを聞くことが出来ます。ギター好きの方には、是非ともお勧めするものであります。あまり情報がありませんが、多分2011年の録音かと思います。
 メンバーは、Vinnie Colaiuta の ds、Rhani Krija の Prer、Jimi Johnson、Nicolas Fiszman snd Pino Palladino の b、Mike Lindup、Yaron heran ! のkey、Dominic Miller の g です。

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村

Fifth House/Dominic Miller

¥3,303
Amazon.co.jp

2012-04-22 06:18:17

Kazumi Watanabe『Tricoroll』

テーマ:2010-2014
 録音は、2011年10月15&16日です。渡辺香津美のギタートリオによる新作です。メンバーは、Kazumi Watanabe の g,g-syn、Dbed Calvaire の ds(1,6,7 & 9)、Horacio "Ei Negro" Hernadez の ds(2,3,4 & 8)、Janek Gwizdala の b です。パンチの効いた、エレクトリックジャズですね。渡辺香津美は、アコースティックの演奏と、このエレクトリックのロック調の演奏を分けて活動しているようですね。
 1曲目「Shang-Hai」は、かなり重厚な音です、Dbed Calvaire の乾いた、それでいて重量感のあるドラミングが印象的です。それに、Janek Gwizdala のエレクトリックベースも、ジャコを彷彿とさせてくれる、うねるような感覚はなかんか聴き応えあります。2曲目「Metabolism」は、時間が歩速で進んでゆきます(意味不明)。そこを、電気ショックを書けたように、渡辺香津美のギターの音色が、羽根を付け飛び交います。空中乱舞と行った様相です。ここまで、タフな演奏が続くと、聴く方も疲れますね。心地よいと言うよりは、精神に針のように刺さってくる音です。これは、彼のアコースティックの演奏との決定的な違いなような気がします。本人は、気持ちいく演奏しているのでしょうが、ちょっとそこに kumac の感覚とのズレがあります。そこは、かなりこの作品の評価に当たっては、決定的かなと思います。
 かなりアグレッシブな演奏で、とても刺激的です。この厚みのある演奏を三人で行っているとは(ギターシンセが入りますが)思えませんね。3曲目YMOの「Rydeen」の渡辺香津美のソロ演奏は、ジャズのシングルトーンのソロとロック調の叫び調の二通りが楽しめましが、どこかで聴いたことのあるような、はっきりと言って個性のない演奏です。
 ちょっと、辛口な書き方をしています。ソロの部分があまりなく、アレンジされた音で全体の多くを構成し、ジャズの醍醐味からはかなり離れてしまった演奏だと思います。つまり、言い方を変えれば、かっこよさだけを追求し、ジャズの本質を置き忘れている演奏だと思います。私は、はっきりと言って駄作だと思います。

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村


TRICOROLL / トリコロール/渡辺香津美

¥2,500
Amazon.co.jp



2012-04-21 06:21:36

Joe Pass『For Django』

テーマ:1960-1964
 ジョー・パスがジャンゴ・ラインハルトに捧げた1964年10月録音のアルバムです。リズムギターを従えたツーギターのカルテットとなっています。つまり、リズムは、リズムギター専門にジョン・ピサノに任せて、ジョー・パスはフロントラインのアドリブに専念します。ブルース・ギターの音色とは明らかに一線を画す、とても乾いた機械的な音です。弦をピ~ンと張った、緊張感が一音一音から伝わってきます。どこも派手なところはない作品ですが、ただひたすら、メロディーを糸と糸の音で紡ぐ作業というか妙技を、真正面から見せられた、生写真のような鮮烈さをともっなっている作品です。そこは、リズムギターを従えたことによって、身の隠し場所を失ったすっぴんなジョー・パスの演奏が聴けるから、そう思うのだと思います。
 kumacが一番好きな演奏は、9曲目の「Django's Castle」という作品です。ジャンゴ・ラインハルトのオリジナルの曲です。とてもしみじみと、そして豊かに美しくメロディーを弾いてゆきます。まるで夢の中に誘われたようなふわふわとしてよい気分で、曲に入ってゆけます。そしてソロに入ると、一音一音、丁寧に余韻を引きずりながら、音を奏でてゆきます。とても説得力のある演奏です。ジム・ホールの繊細さとは違う、木訥な鉈で切ったような極太な音が楽しめます。
 他のメンバーは、ベースがジム・ヒューアート、ドラムがコリン・ベイリーとなっています。

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村

フォー・ジャンゴ/ジョー・パス

¥999
Amazon.co.jp

2012-04-07 05:19:23

Tingvall Trio『Skagerrak』

テーマ:2005-2009
 ついに彼らの最後の作品、つまり時間としては最初の作品となった(最新作から遡って聴いているから)。2005年の録音だ。彼ら Tingvall Trio の特徴の一つは、物語性のあるメロディーの提示とその展開だと思っているkumacにとって、デビュー作からこの特徴は明確に彼ら三人に共有されているのだろうかということだったが、結果、物語性は明確に聞き取れた。それも最新作に優るとも劣らない。刺激物として、提示されている。これは、やはり、リーダーのピアニスト Martin Tingvall に負うところが大きいのだと、当たりまえのことかも知れないが、つくづくと思う。一発目「Sjorup」での Martin Tingvall のピアノの弾き方は、攻撃性を備えながらも、キモの部分では、脅威の感極まった連打を見せてくれる。これには、どうしようもなく痺れてしまう。2曲目「Nu Djavlar」は、なにやら、気の利いたテーマが現れ、ティングバルの情熱的なソロに入る。高音域を使った激白のようなソロラインにティングバルのうめき声が重なり、迫力が倍加されて、彼らの世界に引きずり込まれそうになる。そう、彼らの音の魅力に、麻薬中毒者のように没入してしまいそうになるのだ。
 とにかく情緒豊かな演奏です。それも様々メロディーで楽しませてくれます。全14曲、重厚な色彩のオンパレードです。どの曲をとっても、素晴らしい演奏です。なにやら、獲物を摑まえようとしてじっと神経を集中している野生の動物のような、抒情を湛えた、冷徹で冴えた音です。
 今回、彼らの4作品を時代をさかのぼって聴いたのですが、いい意味で、時の変化を感じませんでした。つまり、古い演奏が色褪せては聴こえてきませんでした。あのe.s.t.でさへ、初期の演奏はかなりフリーっぽくて、散漫な印象を受けるのですが、彼らにはそのようなことはありませんね。まっ、何処を切りとるかで、違ってくるのですが、彼らの、デビュー前の録音を作品にしたなら、また違うのかも知れません。
 今後も、彼らをしっかりと追って行こうと思います。

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村

Skagerrak [12 inch Analog]/Tingvall Trio

¥3,349
Amazon.co.jp

Amebaおすすめキーワード

    1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>