Aldo Romano『Inner Smile』 | kumac's Jazz

Aldo Romano『Inner Smile』

 イタリアの御高齢(失礼)のドラマー、アルド・ロマーノの2011年3月1日、2日、3日に録音されたエンリコ・ラバをフィーチャーしたワンフォーンの作品です。アルド・ロマーノは、CDのジャケットの写真を見ると、とても70歳代とは思えない、精悍な顔つきをしています。演奏自体に派手さはありませんが、とてもスムーズなバッキングを行っております。この、自己名義のアルバムで、変な(ドラムソロを必要以上に入れるとか、自分の思想を演奏に込めるとかしないで、普通のドラミングにおいて、自分らしさを十二分に表現するということが必要だと思うのです)自己主張しないというスタンスは、特にドラマーにとっては、必要欠かざるべき快作に通じる極意だと思っているkumacです。渋いところでの、リズムの正確なキープと、ちょっとした叩き具合でバンド全体の音の色を変えてしまうほどの、さじ加減というものが、ドラマーの善し悪しを決めるものだと思うのでうがどうでしょうか。6曲目「Old Devil Moon」でのブラッシュでのバッキングは、聴き応え十分です。ブライアン・ブレイドあたりは、この点では「陽性の極み」をいっているのでしょうが、如何に。
 この作品で、一番に驚いたのは、フランス人ピアニストのBaptiste Trotignon の軽やかで、感受性の高い演奏です。どんな階調の曲に対しても、見事に対応でき、自己の創造性を表現しています。エンリコ・ラバのソロの時における、バッキングは絶妙です。上手いし、手先が神経そのものと言っていいほどの器用さというか、繊細な反応を聴かせてくれます。このピアニストは、初耳ですが、これから注目して聴いていきたいと思っております。5曲目「Il Piacere」での演奏は、美しさと力強さと、華麗さを併せ持った、見事にバランスの取れた好演奏です。他にも、調性ののない曲での演奏も、十二分にこなして、かなりテクニックと柔軟性を併せ持った演奏者と思えました。
 エンリコ・ラバか彼らしい、淡くて、晴れ渡った大空のような、シミのないラッパの音です。気分が爽快になって来ます。
 ベースは、Thomas Bramerie 。

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 Inner Smile/Aldo Romano

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