山中千尋『Reminiscence』 | kumac's Jazz

山中千尋『Reminiscence』

 「Reminiscence」とはどんな意味かとググったら「回想」「追憶」と出てきた。心なしか、彼女が普段から口ずんでいる好きなメロディーを頭の中で回想して演奏しているような気がした。それほどまでに、この作品は、情緒的で親しみやすいメロディーの曲が多いと感じた。それだけ、親しみを込めて丁寧に弾いている。アグレッシブさというよりは、メロディアンスで爽やかな作品だ。
 録音は2011年6月27日とできたてのほやほやだ。kumacは彼女の演奏を2度、福島の国見町にある観月台文化センターで聴いている。そのときの印象は、このブログにも書いたが、曲を大胆にデフォルメするのがとても印象的だった。それは、この作品の3曲目バート・バカラックの「Cloes To You」を聴いていいただければわかっていただけると思う。原曲の持つ、ピクニックにで出かけるような軽やかなリズムとメロディーを、さらに弾むような軽快な曲に仕上げている。全10曲中、オリジナル曲は、冒頭の「Rain,Rain,And Rain」のみ、他はホレス・シルバーの「Soul Searchin」、ショーン・レノンの「Dead Meat」、レオン・ラッセルの「This Masquerade」、ミシェル・ペトルチアーニの「She Did It Againe」などなど、ジャズばかりでなくポピュラーの名曲もカバーしている。本当に好きなメロディーの曲を楽しく料理している印象を持つ。彼女は、ミシェル・ペトルチアーノが好きなんでしょうね。どこかの雑誌で、推薦する3作品を選んだ際に、ペトルチアーニの地味な作品 Michel Petrucciani『Power Of Three』 を挙げていました。肩から力を抜いて、少しおとなしめに、しっかりとメロディーを心に刻んで、音楽を楽しんでいる感じですね。
 メンバーは、全10曲中8曲が、Yoshi Waki の b、John Davise の ds で、残り2曲を Larry Genadier のb、Bernard "Pretty"Purdie の ds です。6曲目、レオン・ラッセルの「This Masquerade」での Larry Genadier のベースは奥深くて、ゆったりとして曲ですが、パンチが効いていて最高ですね。それに、キャロル・キングの「You've Got A Friend」は、しっとりとしていいな~ぁ。 Larry Genadier も最高のバッキングです。彼女の情緒的豊かな感性を感じさせてくれますね。ただ、弾きまくるこれまでのイメージともちょっと違っています。とにかく、引き出しの多いミュージシャンです。

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