Joshua redman『James Farm』 | kumac's Jazz

Joshua redman『James Farm』

 ジョシュア・レッドマンっていつもいいドラマーとユニット編成していますね。音が硬くて、叩きっぷりがいいです。推進力があります。この作品『James Farm』は録音が2010年8月26~29日です。約1年前に録音された作品です。ジョシュア・レッドマンの新作というにはちょっと古いかな。メンバーは、ジョシュア・レッドマンのts、アーロン・パークスのp、マット・ペンマンのb、 エリック・ハーランドのdsです。最近はこのメンバーで活動しているようです。みんな勢いがありますね。活きのいい作品です。
 ジョシュア・レッドマンって、ストレートな吹きっぷりが気持ちよく体の芯まで響いてきます。そのストレートさって、グニャグニャしている小さな粒々の空気の壁にぶつかりながら進むとても繊細で内向的なものです。そこにはとても自由な隙間が空いています。誰でも入り込んでもいいよというおおらかさがあります。彼の吹いている姿そのもののです。我が道を進んでいるようで、ピアノやベースやドラムスに反応しています。ユニットとして、強固な岩石のような世界を築き上げます。そして、それをきれいに解体してくれます。それを繰り返しながら進化してゆきます。
 1曲目「Coax」は日本語で訳すと名詞では「高周波の信号用の転送線」ってネットで検索すると出てきます。そうですねジョシュア・レッドマンはモールス信号のような音の繋ぎをします。それが連続して次第にエネルギーが倍加され、忘我の境地に達します。静と動をうまく対比させた作品です。ドラマチックでもあります。2曲目「Polliwg」は日本語でオタマジャクシの意味かな。カエルっていう意味もあるようですが、いずれにしてもジャンピングするリズム感のある曲です。その音の周波のままにソロに入ります。 エリック・ハーランドのドラミングがいいですね、リズムを微妙にずらしながら、引っかかりを作っていきます。3曲目「Bijou」はゴスペル調のメロディーで、ゆったりとしたテンポの曲です。ジョシュア・レッドマンはおおらかに唄います。作曲はピアノのアラン・パークスです。彼のピアノのゴスペル調の響きがたまらないです。ソロは、一音一音丁寧に弾きます。4曲目「Chronos」は、中近東風なメロディーで始まります。異国情緒がありますね。壮大な雰囲気を持つ持つ曲です。ここでのアラン・パークスのソロは聴き応えがあります。テーマのメロディーを維持しつつ、高音域で活きのいいソロを展開します。音の歯切れがいいですね。好きなピアノです。それに続くジョシュア・レッドマンのソロも快調です。この辺の息の合った演奏は長い期間一緒に演奏してきただけあります。
 てな感じで演奏は続きます。全10曲です。作曲はすべてメンバーのオリジナルです。ジョシュア・レッドマンが3曲、マット・ペンマンが3曲、アーロン・パークスが3曲、エリック・ハーランドが1曲です。本場アメリカのじミュージシャンの底力を見せつけられて唸ってしまう作品ですね。5曲目「Star Croseed」でのジョシュア・レッドマンのソロは凄まじいです。kumacは、結構、ヨーロッパのジャズばかりに目が行ってしまう傾向にありますが、本場はやはり違いますね。いい若手が続々出てきます。
 今、最先端を突っ走っているジャズを知りたい方、この作品は絶対に聴き逃せませんよ。

James Farm/Joshua Redman

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