Metheny Mehldau『Ouartet』 | kumac's Jazz

Metheny Mehldau『Ouartet』

 kumacは、メセニー&メルドーのデュオアルバムは、正直、好きになれなかった。のっぺらぼうのような起伏の無いメロディーとリズムになんの感情も動かなかった(FM番組でほんの一部の曲だけを聴いただけですが)。それで、このドラムとベースを加えたアルバムも、さほどよいとは思わなかった。今も、良い作品なのかどうか、半信半疑なところがある。
 その原因はどこにあるのか、今日、ずっとこの作品を聴きながら考えていた。結論から言えば、kumacの聞き方が浅かったということになる。なんだそんなんじゃダメだろう、と思われても仕方が無い。
 メセニーの音の癖が、良いときには心地よく聞こえるのだが、生理的に受け付けないときがある。それは、理屈抜きの個人的な好き嫌いになる。どうも、メセニーの発するギターのフレーズが、鼻につくことが、時々、自分には起きる。メセニーは、どんな曲を演奏してもうまいのだろうが、手を出してはいけない音がkumacにとってはあるようだ。
 で、この『カルテット』を聞き込むと、とても色彩鮮やかな変幻自在な音を4人が作り上げていることがわかる。決めごとがあまりない、自由度の高い演奏のなかで、4人が作り上げる音の色は、明確に理解できる。その時々の演奏者の意思で、どんな形にも音は揺れ動き、光り輝く。そこでは、とても難易度の高いジャズのインプロビゼーションが繰り広げられている。
 どちらかと言えば、メセニーの音が全体の演奏を引っ張っている感じで、メルドーは全体の雰囲気を作りながら、緊張感を絶やさない裏方の役割に感じられる。それこそ、メルドーの真骨頂なのかもしれない。メセニーがやりたいことを自由自在にやれているように感じられる。
 考えてみると、ここまで美しくそして緊張感があり重厚な音楽を、即興で作り上げることのできるコンボは、稀なのではないだろうか。生で聴ける日が待ち遠しい。kumacは、音の香りが変幻自在に移り変わる「Don't Wait」が好きだ。
 kumac的評価 スイング感4 革新性4 歴史的価値4 興奮度4 情感4 合計20点(満点25点)



ブラッド・メルドー パット・メセニー, パット・メセニー, ブラッド・メルドー, ラリー・グレナディア, ジェフ・バラード
カルテット