ジャズ喫茶『Jazz & Now』 | kumac's Jazz

ジャズ喫茶『Jazz & Now』

 仙台の青葉通り沿いの藤崎でパートの近くにあった、今は現存しないジャズ喫茶。曲の傾向は、フリー系のジャズとメインストリームのジャズを半々位の割合でかけていました。店主の故人となった中村さんは、フリージャズ、特にヨーロッパのフリージャズをこよなく愛していました。1970年代にFMPとかICPとかのレーベルを直輸入してました。そして、エバン・パーカーのLPも自主制作し、通信販売していたはずです。

 喫茶店に入ったところは、狭かったですが、レコード売り場でした。レコードを買うと入れてくる紙袋は、片面はコルトレーンの顔、もう片面がドルフィーの顔を印刷したかっこいいものでした。版権どうしてたかわかりませんが、その袋が欲しくてレコードを買ったときもありました。とにかく、ヨーロッパのフリー系の情報は、仙台にいても東京と同じ位に得られました。コンサートもよく主催し、ミルフォード・グレイブス、アルバート・マンゲルドルフ、ICPオーケストラ、エバン・パーーカー、デレク・ベーリーなどなど、かなり重量系のどフリーを生で聴くことが出来ました。

 スピーカーはパラゴンでした。音は、軽やかな乾いたものだったと記憶しています。ズシンとくる、というよりもビシッってくる感じです。珈琲はまろやかで香りがよかったです。

 kumacは、学生時代の1年と2年のときに、昼に眼を覚まし、家を出て、Jazz & Nowでジャズ聴いて、夕方に大学に行って部活するっていう生活パターンで、そのときは毎日のように入り浸ってました。大学を卒業してからは、ちょっと遠ざかってしまい。気がついたときには、店主の中村さんが亡くなって(しばらく奥様が店を経営していたようですが)閉店していました。間違いなく、ジャズ喫茶のおやじで一番親しく言葉を交わした方でした。青春の、よき思い出です。蔵王ジャズフェスでのゲレンデでエバン・パーカーの演奏を聴きながら言葉を交わしたのが、中村さんとの最後でした。

 その後、Jazz & Nowは店は亡くなりましたが、奥様の実家の町で開店したとの噂を聞いて、探しましたがみつからず。でも、奥様がヨーロッパのフリージャズのコンサートのプロモートは続けていて(今はわかりませんが)、2000年にはエヴァン・パーカー・エレクトロアコースティック・カルテットを招聘しています。kumacは10月9日の小野田町(宮城県)薬莱山山麓のレストランの庭で行われた野外ライブを聴きました。本当に田舎の加工されていない自然の中、かがり火の暖かい灯りがあり、幻想的な雰囲気で聴いた(牛の糞のにおいもありましたが)演奏は思い出深いものがあります。(ちなみに、この演奏で2台のMacintosh Power Book G3が活躍していました。それで、kumacもMacを使ってフリージャズを演奏したいと思いジャズバンドを結成したのでした。)

 とにかく、一番思い出深いジャズ喫茶でした。



ちなみに紙袋の一面は、コルトレーンの『ブルー・トレ-ン』そのものだった気がします。



ジョン・コルトレーン, リー・モーガン, カーティス・フラー, ケニー・ドリュー, ポール・チェンバース, フィリー・ジョー・ジョーンズ

ブルー・トレイン