女人天下 4 | 気になる映画とドラマノート

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 きのう始まったブラッディマンディの出演者たちが、はんで押したように、「ブラッディマンディの世界観」に惚れた、と「世界観」を連発していたのにはいささか驚いた。ドラマ「ブラッディマンディ」自体はそれなりにいいだろうとは思うが、「世界観」と言うのは、ちょっと違うのではないか。
 ドラマに対して「世界観」と言うのは、実は「人間観に対する独特な視線とでも言うもの
」に他ならない。私は、現代ドラマで、独特な人間観を持っている作品として一等のものとしてあげたいのは、「女人天下」だと思う。

 なぜか。ナンジョンと文定王后の二人は、たぶん、最大限の洞察力、ひらめき、熟慮が出来、胆力の持つ女性として描かれている。しかし、それを「世界観・人間観」と言いうる場所にまで持って行っているのは、この二人の女が、深い洞察力を持ちながらも、それぞれに、人間関係の複雑な網の目の中で、決して全能ではありえず、90パーセントの快刀乱麻と10パーセントの失策を、驚くべき高みで、孤立無援の戦いを演じているからだ。この企図に失敗すれば、この長編ドラマは大失敗に終わる。が、文定王后役のチョン・インファはまさに畢生の名演技でこの「女人天下」を韓国史劇史上まれに見る「女の戦い」にしている。
 「大王世宗」では世宗の母の親族は、最初二人の兄が私腹を肥やして死罪になる。
その数年後、弟二人がまた同じように私腹を肥やしたことをとがめられて、死罪になる。私は「大王世宗」のこの場面で、いったい、なんで弟たちは、兄たちの死に様を教訓にすることなく、同じような点を指摘されたのだろうか、これはうかつすぎるのではないか、と思った。すると、「女人天下」の中で、チョン・インファの文定王后がまさに、この史実に言及して太宗の后の外戚は私腹を肥やしたことを告発されて死罪になった、だから、兄上、くれぐれもぜいたくは慎んでください、と。この描きかたは私には実に納得のいくものだ。王朝で生き抜くためには、王と朝廷の行動の特徴を歴史事実に照らして身を正すことはまず、必須だろうと思うからだ。
 世宗の母は、王に対してヒステリックに泣き言を言ったり、嫌味を言ったりして王を怒らせるが、文定王后は、中宗にひどくしかられても、激しい反論の仕方はしない。思慮深いからなのだ。このあたりのキャラクターもよく考えているなあ、と思う。

韓流ドラマを楽しむ日々
文定王后は自分の思考と洞察力に強い自負心を持つが、けっして人の意見に耳を貸さないという無謀なところは、ない。この場面はナンジョンの考えが気に入らないにもかかわらず、なかなか聞くべきところもあることに気付いて慎重に考える場面。チョン・インファは、まったく立派で美しい顔をしている。

韓流ドラマを楽しむ日々
メヒャン役のパク・チュミ
1972年10月5日生まれソウル芸術大学放送芸能科卒業
二人の息子の母
パク・チュミ「ホジュン」でも見ましたが、私はこの女優は、かなり高い演技力をもっていると思います。どうしてかというと、この人のナンジョンと話す時の声の出し方が明らかに、独特な抑制で「友情から優情まで」の情緒を表現しているからです。
私はこのドラマでのパク・チュミほど優しさのこめられた声を聞いたことがありません。
現在BSで放送中のドラマやレンタルで見る人はぜひこの点に注意してみてください。
31話あたりから、メヒャンが、ナンジョンと話す時、パク・チュミは声を抑制して、非常にやわらかく発声しています。
 

「女人天下」名言集1
「娘が宮中で孤立無縁で苦しんで居る時、父親のわしはめしとおかずの文句ばかり言っておったのじゃ。なさけなくて涙がでてくる」 文定王后の父
の言葉