ホン・トゥクチュの娘ミグムは、典型的な箱入り娘の悲劇を体現している。
タニョンが行商人の苦労を知っており、義と商道を自前で考え抜いているのに比べて、チョン・チスのような本質的に俗物の、機能主義的な教養人の底の浅さがわからない。
それでも、破れれば胸が張り裂けそうになる純愛の情だけはあるのが、箱入り娘の特徴だ。
ミグムは、チョンチスを尊敬し、恋心を抱いていたが、「あなたもまた、すくなからず、私を女として見ていてくれていたはず」とチョン・チスに訴える。
たしかにチョン・チスは、ミグムを女として、好ましく感じてはいたが、所詮情愛よりも、野心を、師匠への信義よりも、野心を優先する男だった。
ミグムはそこに気付かないおろかな女性だった。
21話
父親ホン・トクチュがイム・サンオクの道義心と商才の兼ね備えた器の大きさを見抜いて、ミグムの婿にと考えているのを知って、ミグムが悲しむ様子は、なんとも痛ましい。(器の小さな、義理も礼儀もない男を愛し、人格者を見抜けずに恐れ悲しむ様子は痛ましいと言うほかない)
そしてこの物語が、また別な意味で痛ましいのは、ミグムとイム・サンオクの縁談を知って、哀しむチェヨンのせつない表情。
チェヨンはサンオクを心の底から愛しているのだが、運命が許さないことを諦念しているかのようだ。
22話