アメリカン・スナイパー | Every Little Step (新)

Every Little Step (新)

りおうさんの更なる進化を求めて。

アメリカン・スナイパー(原題: AMERICAN SNIPER)
2014年アメリカ 日本公開2015年2月
監督クリント・イーストウッド
ブラッドリー・クーパー/シエナ・ミラー/ジェイク・マクドーマン/ルーク・グライムス
画像
C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC


【雑感その1】
よかった。いい映画でした。
適切な表現ではないけれどおもしろかった。
もちろん楽しいとか笑えるとかそういう意味ではなくて。

クリント・イーストウッドの監督した作品は実は見るの初めて。
もちろん本人が過去に主演してた映画すらみたことない。
初・イーストウッドです。
先日起こった痛ましい事件のことも相まってか
少なからずこの映画に関心を持つ方は多いのではないかと思います。
アメリカでも大ヒットになっています。
賛否両論ありますけれども。

クリス・カイルという実在した人物のことを映画化していて
本人が書いた(共著)『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』という自伝を
ベースとした映画となっています。
テーマの割には思ったほど凄惨なシーンはないので大丈夫ですが
表現として残酷なところはあります。が、視覚的には怖くは無いかなー。
前編にわたって程よい緊張感があり
見飽きることもなくむしろ夢中になってみてました。
表向きは一応彼をヒーローのように扱っていますが
無音のエンドロールが、果たして本当にそうなのか?
ということを問いかけてきます。
対する敵、守るべき家族と国。愛国心だけを頼りに。
最後に訪れるスナイパーvsスナイパー。
図式的には非常にわかりやすくなっていると思います。


それぞれが貫こうとする正義。
本当にそれは正義なのだろうか。


【適当なあらすじ】
テキサスに生まれたクリス・カイルは厳しい訓練の末、
晴れてアメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員となる。
同じ頃最愛のタヤを妻に向かえ順風満帆だった。
そして1回目のイラク派遣の日を迎える。


【キャスト】
主人公クリス・カイルを演じるのはブラッドリー・クーパー。
最近は割りと話題の作品に出演されています。
この役をするのあたり体重を増やし、クリス・カイル本人に
似せています。
グラサンしたら本当に本人のようでした。
序盤ではみな同じ軍服を着ているのでどれかクリス・カイルかわからなかった
時もありましたが、回りの誰より体が大きいので
その辺で区別してました。
クリス・カイル本人は、ネイビー・シールズ所属の狙撃手で
イラク戦争にてアルカイダ系武装勢力を
160人以上(非公式には250人以上)を殺害した
伝説のスナイパーであります。
アルカイダ側からも『ラマディーの悪魔』と呼ばれ
賞金首にもなっていました。
彼は4度にわたるイラク派遣において
想像もできない過酷な状況の中で過ごすうちに徐々に心を蝕まれていきます。
PTSDに悩まされていくさなか一方ではイラクにおいて
武装勢力をどんどん殺害していきます。
ブラッドリー・クーパーはほんと、病んだ役柄が見事にマッチしますな。

クリス・カイルの妻タヤ・カイル役にシエナ・ミラー。
彼女はわしが先日見たフォックスキャッチャーという作品でも
デイブ・シュルツの嫁さんやってたなぁ。
ともに不幸な役だけどね。。
でもこっちの作品のほうが綺麗だったなぁ。
幼い子どもを2人も抱えてほぼシングルマザー状態で
夫の命の無事を祈りながら毎日過ごすとか
想像を絶するよなー。
少なからず彼女も戦争に振り回された一人ではあると思う。

【雑感その2】
映画の序盤は軽い生い立ちから始まるんですが
なんかね、あんまり幸せそうな人ではない気がしたんだよね。
もちろんほんの一部なので実際はどうかわからないけど。
子どもの頃は弟を守って生きてきて
今度は国を守るために生きる道を選ぶ。
そしてクリス・カイルの敵になるアルカイダ系武装勢力の凄腕スナイパー。
オリンピックに出場経験があるという設定。
実際は彼の著書にはそんなスナイパーは登場しなくて
イーストウッドが脚色したんだそうです。
ムスタファという名のそのスナイパーのことは
劇中で特に説明もなく心情が語られるわけではないですが
妻と子がいるわけです。
そしてカイルは殺された仲間のために復讐する。
ムスタファを殺るシーンはまさにヒーロー映画さながら!
そのへんはさすがに映画だなぁと思わされました。

そして蝕まれてゆくカイルの心。
それはカイルだけでなく同じ仲間もPTSDに悩まされる。
そして悲しい事件が起こるわけです。
皮肉にも。
数々の人を撃ち殺した銃で自分の命も落としてしまうわけです。
切ない。本当に。
平和であるはずの母国で。
カイルを射殺したその元海軍兵はPTSDを患っており
去年仮釈放なしの無期懲役の判決がくだされました。
そして今でも現実にPTSDで悩む兵士たちが数多くいるのです。

愛国心とそのためにためらわず多くの人を射殺したカイル。
しかし戦場というその場で彼は葛藤していたと思われます。
自分の信じる正義に。
でも人を殺してなりたつ正義ってあるんだろうか?
そもそも人を殺さないと成り立たない正義がおかしいのではないか?

とかなんか色々思っちゃったりするわけですよ。
あなたは何を思いますか?
とても切なく鑑賞後は色々な思いに駆られる作品だと思います。



余談ですが
海軍の訓練中に思わずファミコンウォーズのCMを
思い出したのはわしだけだろうか。

あとクリスの2人目の赤ちゃんが
どっからどう見ても人形だったような……。
そればっかり気になって赤ちゃんばっかみてたわ。

エンディングは実際のクリス・カイルの葬儀の模様なのですが
ああっ、西部警察ぅぅ。 
とか思う不届き物はです。ごめんなさい。
でもそのエンディングを見るとやはり涙が…。
我慢してたら下向いた拍子に鼻からボタッと何かが滴り落ちたわ!
涙って我慢すると鼻からでるのねっ!!

そして日本が誇る最強のスナイパー、デューク東郷を
わすれないでねっ。


2015-③