学校の怪談、僕のラーメン談 | エキセントリックギャラクシーハードボイルドロマンス         

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〜文学、お笑い、オートバイを愛する気高く孤独な三十路独身男の魂の軌跡〜 by久留米の爪切り

その小学校の校舎の時計台の下には、得体の知れない物置小屋がある。厳重に鍵がかけられており、何年もの間、誰も入ったことは無い。長い間、放置された挙句に、今となっては鍵の保管場所さえ不明なのである。実は、その昔、時計の針が真下に落下する事故があり、不運にもその時、丁度居合わせていた一人の女子児童の頭を貫く様に刺さり、断末魔の叫びを一声上げた彼女は、そのまま果敢無く帰らぬ人となってしまった。アスファルトに飛び散った夥しい量の鮮血は幾ら拭いても一向に消えず、業を煮やした学校の大人たちは、その場所を覆い隠すために小屋を設置した。それから夜中になると、決まって物置小屋から、女子児童の啜り泣くような嗚咽が漏れ聞こえてくるのだという…。


まあ、どう考えても嘘だろう。時計の針だけが落ちるなんて、一体どんな構造なんだ。有り得ない。どの学校にも、そうした他愛も無い怪談というやつは、つきものであるらしい。

久留米市民の桃源郷、ゆめタウン久留米 のほぼ敷地内、これ以上ない好立地、久留米市新合川1-4-43に店を構える「大砲ラーメン 合川店」は別名、合川校舎、と呼ばれている。成程、一昔前にあったような木造校舎を再現している拘りの建築様式だ。時計台があるが、大丈夫、真下は入り口の屋根でガードされている。これで針が落下する危険は無い。刺さらない。何も怖くない。僕は安心して入店する。



くすんだ黄金色のドアハンドルを引いた。床も天井もテーブルも全てが木造だ。広い厨房には給食室と札が下がっている。ちなみに僕が座ったカウンター席は六年一組であるらしい。午後4時だけど、店員の数が多い。みな映画「ラーメン侍 」のTシャツを着ている。バックプリントが格好いい。地元を愛して止まない久留米市民たるこの僕は、勿論、この映画を…マジすいません、観ていない。



「ミニ昔ラーメン」450円を頼んだ。食べた感想を述べる。


(…ちっちぇーな。カリカリ余計だな。粋ラーメン460円にすりゃ良かったな)


ラーメン代570円を惜しんだ僕は、痛恨のフィルダースチョイスをかました。スープが浅い。背脂を揚げたカリカリは苦味があって好きではない。もっと深く注文を考えるべきだった。パッと目に付いた安い値段のラーメンを条件反射的に伝えてしまったのだ。いや、ラーメン自体はうまいのだが、やはり少量過ぎる。軽く一気に飲み干すと舌がピリピリ痺れた。それから、隣りの若いスーツの男性客が注文したラーメンセットに羨望の眼差しを注いでいた僕だった。


おやつ、には丁度良い量だったけれども。


大砲ラーメン 合川店ラーメン / 五郎丸駅久留米大学前駅宮の陣駅
昼総合点★★★★ 4.0