一人暮らしを始めてから、一度も年末の大掃除をしたことがない。
結局ダルくなって諦めてしまう。
でも、ちょっと思うところあって冷蔵庫の整理をしてみたら・・・
すごい事になっていた。
今日は、そんなよくある日常の冒険譚。

実家から、イクラやたらこや漬物が送られてくる。
それらはやっぱり既製品じゃ比べ物にならないほど美味しい。
北海道の産地直送で、しかもおばあちゃんが自分で漬けたものだ、
イクラのしょう油漬けも、白菜の朝鮮漬けも、たくあんも、どれも絶品と言っていい。
ただ、やっぱりそれでも量が多いので毎回少し余してしまう。
親心(祖母心?)がそうさせるのだろう、ありがたいが勿体無い。


では、本題。
「イクラのしょう油漬けと、たくあんと、白菜の朝鮮漬けは、丸1年放っておくと一体どうなるのか?」

冷蔵庫の奥に見慣れないタッパーが3つ転がっていた。
普段調味料などを入れているので割と死角になっている場所だ。
勿論、毎日見てはいたんだと思う。見える場所にあるから。

でも、意図的に忘れていた。
開けるのが怖かった。

安心してほしい、あまりのことに写真に撮ることすら忘れていた。
撮ったところで、公開はしなかっただろうが、
とにかく、食事中の方の気分を害する映像は、一切ない。

イクラ、
割りと普通。表面に灰色のポワポワして毛のようなカビが浮き、赤く透明だった汁が
鮮やかさを失い、赤白く変色しているだけだった。
意外だったのは、そんなに臭くなかったことだ。

朝鮮漬け。
いわゆるキムチのコチュジャン使ってないバージョンなんだけど、
これは、ドロドロに解けていた。やっぱり白菜はもろい。全体的に黄土色。
これはもうタッパーごと捨てた。なので匂いは未知数。

たくあん
思い出すのも恐ろしい。
白みがかった黄色のたくあんは、見る影もなく土気色に変色し、
「マタンゴ」(前に紹介したキノコの化け物の映画)
のように、幾層にも盛り上がった菌糸で覆いつくされていた。
オーストラリアのアリ塚を想像してくれると良い。←全然よくない

しかも、逆さにしても落ちてこない。
もうすっかりカビがタッパを捕まえて一体化しているのだ。
剥がすために手を入れるのはちょっと嫌だったので思いっきり振ってみる。
全然びくともしない。
恐ろしい。菌糸って強いんだな。
左右に思い切り振り、何かに叩きつけ。ようやく落とした。

割と冷静に(最後の方冷静じゃなかった気がするけど)
処理できたのは、3年間大学で粘菌を研究してたお陰だったかもしれない。
致命的な害の無い菌は、ある意味で不潔なものではないという認識が持てたのは、
間違いなく研究室のお陰だ。
どんなことでも、何かしらの役には立つものだ。

ちなみに、このクリーチャーどもは、
その日のうちにゴミ袋を2重に重ねてゴミに出した。
万が一袋が破けて中身がこぼれだしたら(イクラはもう液体と言ってもいい)
ゴミ処理のお兄さんが可哀想だ。
キッチリと処理しなければいけない。


しかし、今回の冷蔵庫整理で、本当に恐ろしかったのは、
スーパーで買ったしば漬けだと思う。
殆ど↑彼らと同時期に買ったと思われるしば漬けだが、
別段なんともなってなかった。
勿論食べたらお腹を壊すだろうが、見た目は全然普通なのだ。
これ、絶対おかしい。

しば漬けはプラスチックじゃない。自然のもののはずなのに・・・・
食品加工に加工を重ねて、
防腐剤に漬けられ、着色され、薬品で味付けされ、
“不自然なモノ”にまでされた漬物が普通にスーパーで売られている。
こんな不自然なモノを食べて、僕達は大丈夫なんだろうか?


結局なんか真面目な方向に無理やり持っていって今回の講義を終了する。
ご清聴ありがとうございました。