「お疲れ様です。先生、お変わりありませんか?」
うちに来ている若いMR女性の挨拶です。
言葉の使用方法に違和感を感じつつ、こう答えました。
「万物は流転するからね。変化しないものはないよ。ずっと変わり続けてますよ。」
MRの女性は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていました。
わざわざ意地悪な答えをしたかったわけでもないのですが…
彼女としては、おそらく「何か変わった出来事」を求めての質問だったのでしょう。
しかし情報提供するのはMRである彼女の仕事。
迎合せず、極めて正直に真面目に返答しておきました。
本日3月10日は東京大空襲の日です。
うちの診療所は東京下町にあります。
患者さんの中には空襲体験者がたくさんおられます。
「赤ん坊をおぶって命からがら逃げ延びた」
「死体が隅田川に積みあがっていた」
「斜め向かいのおじさんの下半身が燃えていた」
などの話を聴くと、身震いしてしまいます。
数十年前この場所でそんなことがあったのは紛れもない事実です。
民間人大虐殺でしょ?
保守系の威勢の良い政治家の皆さん、今日ぐらいアメリカに反省を求める発信をしてはいかがでしょうか?
空襲で家が燃え上がり灰になる。さっきまで元気だった人がいなくなる。
津波で家が流される。
まさに、この世は無常です。
仏教で言う「色(物質)」が一瞬にして「無」になってしまうのです。
空襲の記憶も「無」になってしまっても良いのでしょうか?
今なおシリアやイラクで繰り広げられる空爆による惨状を見て、人智への尊敬の念が揺らぎます。
森友学園のニュースで埋め尽くされ、ほとんど話題にさえ挙がりませんが、1945年の今日、東京大空襲で10万人以上がお亡くなりになりました。