このマンガがすごい! 2015
宝島社


『このマンガがすごい! 2015』を読みました!

毎年、その年の評判になったマンガを取り上げている宝島社の『このマンガがすごい!』ですが、私は2011年版から買っています。と言うことはつまり、2010年に評判になった作品が取り上げられていると言うことなのですが、この年のオトコ編1位は諫山創さんの『進撃の巨人』でした。思えばこれが出会いでしたね。その他にもオトコ編3位の上野顕太郎さんの『さよならもいわずに』、オンナ編1位2位を独占したヤマシタトモコさんの作品など、今まで私が読んでなかった作品が紹介されていて、読み始めたものがいくつかあります。

そんなわけでそれ以来毎年買うようになっていたのですが、その年に(前年の10月1日からその年の9月30日までに単行本が発売になった作品のうち)評判になった作品が取り上げられていて、自分の好みと同じものもあればへえと思うものもあり、そこらへんがいろいろと面白いなと思いました。

今年はオトコ編1位が大今良時さんの『聲の形』。これはまあ文句ないかな、と思います。自分が読んでいる作品だけ追って行くと、3位の田島列島さんの『子供はわかってあげない』。これは入るかなと思っていましたが、3位と言うのは良かったなあと思います。日常的な次元で描いたものでいえば、この2つが確かに出色だったと思います。

あとは4位、竜田一人さんの『いちえふ』。これも「入るべき」作品でしょう。そして6位の近藤ようこさんの『五色の舟』。これも凄かった。近藤さんは80年代のまんがニューウェーブの一人ですが、こういうメジャーなコンテクストの中で評価されることはそう多くなかったと思います。まあこういう『このマンガがすごい!』のようなまとめ本もあまりなかった、と言うことだとは思いますが。あとは17位の『アルスラーン戦記』。これは別冊マガジンで何となく読んでいます。古代アケメネス朝ペルシャの歴史みたいな雰囲気がある気がします。

大今さんのインタビューが結構長いものが掲載されていて、なかなか口が重い方なのですが、面白かったです。作品を本当に慎重にでもしっかりと構築していて、凄いなと思いました。この作品は「人が人を知ろうとすること、関わろうとすることの尊さ」がテーマだ、と言われていて、確かにその行為ひとつひとつにたいし、愛情を込めて描いていることが強く感じられた作品だなあと思います。自分から見て納得出来ない対応に関しても本当に仔細に描いてあってその辺り読んでて辛くなることもあるのですが、それだけ真摯に描かれているのだろうと言うことはよくわかるのですね。

オンナ編の中ではちゃんと読んでいるのは東村アキコさんの『かくかくしかじか』だけで、同じ東村さんの『東京タラレバ娘』も2位に入っていましたが、読んでいません。3位に『ベルサイユのばら』が入っているのは驚きました。(笑)新作が描かれたのですね。これもまだ読んでないです。それ以外では6位の森本梢子さんの『高台家の人々』は少し読んだことがあり、9位の高野文子さんの『ドミトリーともきんす』は高野さんだから読もう、と思いながらまだ読んでない作品です。

21位以下ではオトコ編では『進撃の巨人』や『One Piece』など今や定番と化した作品や、ジャンプ連載の『磯部磯兵衛物語』などなるほど、と思うものも入っていて面白いです。33位に宮崎夏次系さんの『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』が入っていて、この方の作品は面白いと思うのですが、なかなか全体から見ればそんなものなのかなあと思いました。オンナ編にも『とりかえ・ばや』が入っていたりしました。

まあ自分として納得がいかない、というか入っていてほしかったのは弐瓶勉さんの『シドニアの騎士』ですね。後、『ランドリオール』や『ぼくらのへんたい』も入っていてほしいところですが。

リアリズムもファンタジーもそれぞれ人気のある作品は多いのですが、どういうのがメジャーになり、どういうのがそうならないのか、というのも不思議だなあ、と思うところもあるなあと思うのでした。