シドニアの騎士 二(初回生産限定版) [Blu-ray]/キングレコード
¥8,424
Amazon.co.jp


アニメ『シドニアの騎士』第5回「漂流」を見ました!谷風と星白の関係の原点のような回でした!


アニメ『シドニアの騎士』、放送もすでに第5回。情報もいろいろ出てきて、なるほどと思ったことも多いのですが、すべての映像が3Dで作られているということは先日『アフタヌーン』の4月号の記事を読んで初めて知りました。確かにマンガ的な陰影はなく普通のアニメとは違うなと思っていたのですが、あの妙につるっとした顔つきが3Dで描かれていたためだとは知りませんでした。でもそれがたとえば科戸瀬イザナの顔つきとしたらすごくぴったりくる感じがして、今までのアニメにない特徴がよく生かされているなと思いました。

谷風長道の造形は、あまり融通が利かないという部分よりもなんとなく気弱なところがすごく強調され過ぎているような気はしますが、それもこれから変わっていくのかなと思ったりしています。


今回は、前回訓練生4人(岐神・星白・仄焔・谷風)が与えられた任務・カビザシ回収に出たのですがそこでガウナに襲われ、谷風の機転と勇気ある攻撃によりガウナ撃破に成功したものの、ヘイグス機関が暴走した星白が宇宙空間に流され、谷風は命令に従わずに彼女を回収に帰還限界線を越えたところまででした。


今回のアヴァンでそこまでが振り返られ、話は谷風が星白に追いつき、継衛に星白を迎え入れるところから始まります。しかしヘイグス粒子が切れてしまい、動くことも叶わなくなってしまいました。二人はただ、宇宙空間を漂流することになったのです。


救命用カプセルに乗って漂流する星白に追いついた場面は、先日見た『ゼロ・グラビティ』の場面を思い出しました。そういえばあの映画も、3Dを多用した映画でしたね。


谷風に救助されて嬉しい、でも自分の為に谷風も危険に追いやってしまった、ということをすまなく思っている星白。「でも無事でよかった」と言われて頬を赤らめる星白。原作を読んでこの後の過酷な展開を知っているだけに、このあたりの時間の意味をすごく感じてしまいます。


緊急対応のため、「ヘイグス粒子捕集膜」を開く谷風と星白。感じとしては太陽電池パネルを開いている感じですが、ヘイグス粒子というのは宇宙に普遍的に充満しているものらしく、そのエネルギーを使ってシドニアも衛人も動いているようです。この開いた捕集膜がとてもきれいで、それに見とれる二人がヘルメットをごっつんこさせて赤面、とこのあたりは王道の展開。このあたり原作にはなかったと思いますが、いい場面だと思います。水と食料をチェックすると、水は2週間分、食糧(戦闘糧食)は8個しかありません。この当時の人類は光合成ができるため1週間に一度しか食事をせずに済むため、これで8週間持つという計算なのです。しかし谷風は光合成ができないため毎日食べなければなりませんから、二人で10日持つかどうか、と谷風は計算します。そして、体力の温存を図るため、もう寝よう、と言います。


谷風が寝ているのを見計らって、星白は全裸になって光合成を始めます。しかし谷風が目を覚ましてしまい、慌てます。でも谷風は、そっちを見ないから続けてよ、と言います。このあたりも9巻当たりの展開を考えると思うところがあったりもします。


この場面で、谷風は祖父との過去を語ります。そして谷風が「星白はなぜ操縦士になろうと思ったの?」と問うと、星白は「どうしてだろう。もう忘れたな」と言います。このあたりの言葉、原作にはなかったので、アニメでどういう話が加えられるのか、楽しみです。


二人の漂流中、シドニアでの時間が動いていきます。7日後、シドニアの斜め加速による被害からの立て直しが進められ、各地で工事や葬儀が行われる中、訓練士たちの授業が進められます。司令補の勢威は教官としてシドニアの1000年の歴史を説明します。ガウナが地球を分断し、宇宙空間に出たシドニアのような播種船は500隻あったが、700年くらい前に最後に交信した船はアポシムズというのだそうです。イザナはそれを質問されたのですが、谷風を心配していて心ここになく、答えられませんでした。


約600年前に謎の物体に遭遇してそれを調査し、ガウナ本体を撃破できる「カビ」を回収した調査隊は英雄となったのですが、そのメンバーに艦長小林と寮母のヒ山がいた、という話を二人がしています。そしてそのカビを使ってガウナを倒せる唯一の武器、カビザシが出来たということを勢威は説明していますが、その調査隊に小林とヒ山がいたということを知るものは「あの忌々しい連中」しか知らない、と小林は言います。斎藤ヒロキ、つまり谷風の祖父が地下に隠れた原因が、そのあたりにあることを二人の会話から暗示しています。


このあたりの内容は原作では3巻後半で語られているのですが、原作で詳しく語られている具体的な内容はアニメの第5回の内容では語られておらず、設定だけが説明されています。なぜこのような織り込み方をしたのかはよくわかりませんが、それも今後明らかになるのだろうと思います。


というか、考えてみれば救出成功を最後に持ってくるためには、エピソードが足りないからここに歴史の説明を挿入した、ということかもしれないな、とも思ったのですが。


漂流中の二人。8日目になり、最後の戦闘糧食となります。ということは計算上、ずっと谷風だけが食べていたことになりますが、最後の戦闘糧食を二人で分け合って食べます。そして谷風と星白のガウナをめぐる対話。これは原作にもありましたが、星白は「ガウナは人類と友人になりたがっているのではないか、と思うことがある」と言います。このあたりも後の話にかなり関係してくるのですが、もうこのまま動くこともできず、ここで死んでいくのではないかという状況の中で、本音に近いことを語っているのだなあと今見ながら思いました。語らなかった星白の操縦士を志願した理由も、そういうこととかかわりがあるんだろうか、とちょっと思いました。


10日後、谷風が水を飲もうとするとでません。調べてみると、タンクに穴が開いていたのです。水も食料もないという絶望的な状況の中、11日目に谷風は脱水症状を起こします。それを見た星白は決心して、自分の尿を濾過して谷風に飲ませます。この「星白由来の水」がネットで話題騒然(というほどでもないか)になっていて一部の強い期待を持たせていましたが、これだけ絶望的な状況になると、まあ万をやむを得ないという感じがうまく出ていたなあと思います。


そして気がついた谷風が、潤滑剤に含まれている水を濾過して飲めるようにするという案を思いつき、試してみて成功します。喜ぶ二人に、真っ青な青いリングの光が近づいてきます。守備隊全機が命令違反をして、二人を救出に来たのです。この場面が私は原作でもすごく好きだったのですが、やはりアニメで見るといいなあと思います。救出の中心は原作にはありませんでしたが、アニメではサマリと弦打であることが語られ、「オレ由来の水を飲むか?」と弦打がふざけますが、このあたりはあとの展開から言ってもうまくはまってるなと思います。


そして命令違反の責任をどうとる、という勢威にサマリは覚悟しています、と言いますが、艦長小林が「257も懲罰房はない。どういう意味か分かるな」といって守備隊から歓声が上がります。曇りもなく明るくめでたい場面というのはこのストーリーにはあまりないのですが、この場面はそういうところだと思います。


いろいろな意味で、見ごたえのある話になった第5話でした。