茶柱倶楽部 2 (芳文社コミックス)/芳文社

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『週刊漫画Times2/14号』の巻頭カラーは青木幸子さんの作品、『茶柱倶楽部』でした。

もともと私が『週漫』を買うようになったきっかけは、横浜駅地下の有隣堂で『茶柱倶楽部』を見て、面白そうだと思って買ったことでした。最初はコンビニでも書店でもなかなか見つからず、おいてあるコンビニを探して何軒も探しまわったこともありました。(笑)最初は何曜日の発行かも分からなかったのです。今ではおいてあるコンビニに金曜の朝に買いにいくので必ず手に入るわけですが。

週漫は不定期連載が多いのですが、この『茶柱倶楽部』もその一つです。だから連載誌を突き止めた後もなかなか掲載している号を見つけられず、いつ掲載されるのかなあとぽけっと待っていたりもしました。しかしこの週漫は大人向けの硬派の作品、特に職業生活を描いた作品が多くて、現代社会の自分の知らない職業が描かれているのを読むのが面白くて、毎週買うようになりました。実は買い始めた当初はお色気ものが多くてコンビニで買いにくいときもあったのですが(笑)、最近は少なくとも表紙はそういう感じでなくなって来ています。今では連載作品のうち、『茶柱倶楽部』はもちろん、『図書館の主』『ガズリング』(連載終了)『10歳からの家族計画』など、単行本を買っているものも結構あります。

『茶柱倶楽部』は静岡の茶商のあととり娘である伊井田鈴が主人公。お茶が大好きで、お茶を日本中の人たちに楽しんでもらうためにはどうしたらいいかと言うことを常に考えています。そして宝くじに当たったお金で移動店舗の車を買い、『茶柱倶楽部』と銘打って日本中でお茶を入れて回っています。

その足跡は日本中に広がっているのですが、そのきっかけになった佐賀の茶の生産農家のおばあさんの縁から台湾にも足を伸ばし、そのときに仲良くなった茶商の孫娘で茶器を制作している桃花と、今回は沖縄を訪れています。

ガイドを務めてくれた上間さんは神の島・久高島の出身。まだその内容ははっきりとは分からないのですが、何やら手広く商売している様子です。昔は茶も商っていて、台湾との茶取引の記録も残っている聞いた鈴は、『茶バカ』の本領を発揮して、その記録を調べさせてもらうことにします。

ストーリーは上間さんの娘・波里が結婚を考えていて、帰って来ない父親に結婚式に出てほしいと望んでいる、ということから始まります。沖縄ではさんぴん茶(ジャスミン茶)が飲まれているので、すずは日本の軽発酵茶で上間さんをもてなし、上間さんに波里の気持ちを伝えます。

ストーリー自身は、こういう人生の様々な出来事に関わることを、お茶でもてなすことでリラックスしてもらって話が進んでいく、と言うパターンなのですが、お茶は日本中で飲まれているので、その土地その土地にそれぞれ特徴的なものがあります。また古くから飲まれているために慣習上いろいろな取引や銘柄の表現があって、例えば宇治茶と言うのが宇治で収穫されたものとは限らないと言うことも、このマンガで初めて知りました。

お茶と言えば茶道、茶道と言えば抹茶と言う感じで、伝統文化と言うことではなかなか煎茶や焙じ茶は語られて来なかったように思いますが、こうした煎茶の飲み方だけでもとても様々だと言うことが、このマンガを読んで知りました。台湾と日本の茶を通してのつながりなども興味深いですし、ここで沖縄が出てくることでまた広がりが出てくるように思いました。お茶という題材自体の特性も含めて、とてもロマンのある作品になってきているなと思います。

単行本5巻も2月15日発売されるそうなのです。この先も楽しみにしている作品です。