今週のモーニングは凄く面白かったのですが、なかでも鮮烈な印象を残したのが西餅さんの新作読み切り『ハルロック』でした。超面白かったです!この人は『犬神もっこす』という大学の劇団を題材にした作品でデビューして、劇団員の不思議な生態を描くのが妙にうまい人でしたので、現世の人とはどこか歯車が噛み合わないところがある人のではないかという印象を持っていたのですが、今回の新作は私にはジャストフィットするすごく面白い作品でした。


犬神もっこす(1) (モーニングKC)/講談社
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劇団員というのは元々現世の感覚から外れているところがある人が多いので、劇団主催経験者の西餅さんの面白さもそういうある意味マニアックなものだろうと思っていたのですが、今回の新作でかなり認識を改めました。(笑)


まず、美少女がすごく、魅力的になりました。って言うと当たり前みたいな感じですが、『犬神もっこす』では元々不思議な「犬神君」が主人公だったので、どうしても奇天烈系の先入観で見てしまうところがあるのです。この作品は、少なくとも外見上は普通の少女が主人公です。ただ、その美少女が「天然」であり、電子工作が好きだという「マニア」であるというところが不穏さを感じさせずにはいられないわけですが。


お小遣い欲しさに自作スタンガンでお母さんを倒した(!注:悪気はない)ハルちゃんが脳波センサー(笑)を買った帰りに立ち寄った『台東発明ステーション』という不穏さいっぱいの発明教室をのぞくといきなり「負のオーラ」を発散するおじさんがいて、不快なときに出るβ波を出しまくっていたりします。で、これを測定して『ネガティブになったら不利益を被る』という装置をつくり、ネガティブ思考はよくないという実感を持ってもらうというストーリー。なんだか書いていてなんですかそれはと思わず言いたくなります。(笑)


何というか、負の感情とかそういうものそのものを笑いの対象にする破壊的な批評精神が可笑しいですし、何でも工作で作ってしまうという爆発的な創作力(しかも自分で新しいものを一から作るのは苦手だと思っている)が犬神君にも通じていて、でも変人にとどまっていない魅力があります。


とにかくとても面白かったですし、この設定ならいろいろな奇天烈な発明が出てきてある意味ドラえもん的な面白さも出るだろうと思いますし、ぜひ連載にしてもらいたいものだと思います。これは間違いなく人気が出ると思います!