リンパ浮腫治療で成果 国保すさみ病院 | 高血圧を食事で解消!

リンパ浮腫治療で成果 国保すさみ病院

 和歌山県すさみ町の国保すさみ病院は、子宮がんや乳がんなどの手術後に手や足が腫れてくる病気「リンパ浮腫(ふしゅ)」に対し、複合的理学療法を施すことで症状を大幅に軽減させ、成果を挙げている。リンパ浮腫の専門医でもある高垣有作院長(心臓血管外科)は「完治は困難だが、適切な治療法がある。糖尿病や高血圧のように症状を自ら管理することで、生活の質を維持、改善させることができる」と話している。


 リンパ浮腫は、がんの治療でリンパ管やリンパ節を取り除いたり、放射線治療をしたりするために、術後、リンパ液の流れが悪くなり、けがなどがきっかけでリンパ液がたくさん作られると、手や足にたまって腫れてくる病気。


 重症化すると歩行困難になったり、合併症を併発したりすることがあり、その場合、痛みや高熱を伴うという。


 高垣院長によると、がん治療を受けた人の25%が発症し、発症時期は術後3カ月以内が30%、3年以内が75%、10年以上が15%という。


 一度発症すると今の段階では完治は難しいとされている。4月から治療の一部が保険適用となったが、早期に適切な治療を受け重症化を防ぐことが望まれている。


 しかし、「命が助かっただけでもよかった」とリンパ浮腫の治療をあきらめたり、不適切な治療で症状を悪化させたりしているケースもみられるという。


 複合的理学療法はドイツで始まった。リンパ液の流れを良くする医療マッサージなどにより症状を管理するもので、国際リンパ学会の標準治療の一つとされている。


 国内には10年ほど前に導入されたが、「認知度はまだ低い」(高垣院長)という。


 治療は生活指導とマッサージ、圧迫療法、運動療法を組み合わせている。いま以上に腫れないようにし、弾力のある特殊なストッキングの着用や特殊な包帯による圧迫・運動で、リンパ液がたまるのを抑え、腫れを軽減する。


 すさみ病院では専門の研修を受けた医師と理学療法士が応対。県内では唯一、2週間の短期入院で治療のほか症状の管理の仕方を指導する体制も整えており、県外からも患者が訪れている。


 高垣院長は「歩行困難な人が歩けるようになって退院されている。症状のコントロールには根気が要るが、生活の質が改善でき、より積極的な人生を送ることが可能になる。あきらめないでほしい」と話している。


出典:紀伊民報