『EX! 12』 | 手当たり次第の本棚

『EX! 12』


今回は戦闘、戦闘、戦闘のオンパレードで、作者自身も、あとがきで、90%が戦闘と断言しているほどだ。
冒頭からエクスター・ブレイズ(伝説である、主人公の父)が活躍し、新たなエクスターが出現し、主人公一哉と十季子は協力して善戦し、その前にドクターグレイと洗脳された由真が立ちはだかる。

さて、戦闘シーンというのは、実に巧拙が分かれる部分で、上手な人でも、続けば続くほど、マンネリになったり単調になったりする。
漫画はまだしも、小説では、文章表現のみに頼るわけなので、更に難しい。
幸い、本作のような作品では、リアルに人間が使えるものではない、改造人間などの、ハイパーテクノロジーにいよる多彩な演出が可能ではあるが、それにしたって、「いかに架空の技術をリアリスティックに、かつ華やかにみせるか」というのは、文章表現が問われるところだ。

結論から言おう。
本巻の戦闘シーン(連続)に飽きる事はない。
アクションが好きな人は、存分に楽しめるだろう。
リズムもいいし、会話にからんだ字の文章まで軽快でリズミカルである。

物語的には、前巻の学園祭の後半にあたるため、前巻を再読してからのぞむのがいいかもしれないけど、なにせい戦闘、戦闘であるため、再読しなくてもとりあえずはOK。

そして相変わらず、女の子がいい味出している。
(但し今回のヒロインは断然十季子だと思う)。

一方、由真と由良は更に謎が深まった感じで、今後の展開も、姉妹にからむものとなっていくのは間違いなさそう。


EX! 12 (GA文庫)/織田兄第
2011年1月31日初版