『耽美なわしら 2』 | 手当たり次第の本棚

『耽美なわしら 2』

繊細な美少年になりたかった超兄貴体型の19歳のゲイと、
超絶偉人なのに思うようにもてない真正レズビアン、
かなり意地の悪いアビセクシュアルの和風美青年と、
コケティッシュで時々かなりスルドい事を言うバイセクシュアルの美少女、
そしてガラスの人形のように繊細で美しいが、その実かなり天然バカなノンセクシュアルの美青年。

そう、主要な登場人物には、誰一人として、「ノーマル」な性癖のものがおらず、
全員どこか変人で、
ついでに言えば、全員自由業で、
一人も、恋が上手くいっていないが、
凸凹な友情でつながりあっている、らしい。

ドラマにしたら面白いんじゃないかなあ、などと思う。
アニメじゃいけません。
ここはやはり、ドラマで。
なぜかというと、一見奇矯な人間の集まりのように見えるけれど、
これは、まさしく生々しくリアルな「青春グラフィティ」だと思うからだ。
彼らの性癖などは、単なる色づけである、と見る事もできる。
と、言いますか、あたりまえなんだけれどおなかなkああたりまえととってもらえない事実。
性的嗜好が「ノーマル」でないからといっても、別に人外になるわけではない。
ごく普通の人間だよ、という事が、「1」よりもひしひしと伝わってくる。
ヘンなところも、それはそれで、「普通」の人にも多かれ少なかれ、それくらいの「ヘン」さは、あるのだ。

とはいえ、彼らのような性的嗜好は、まだまだマイノリティであり、そうすると、自分が思うような恋愛をするのは、「ノーマル」よりちょっぴり難しいよね……とも、思うんだけど(笑)。
まあ、そこは、小説としてその分余計に面白い。


耽美なわしら〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)/森 奈津子
2009年3月25日初版