〈神曲奏界ポリフォニカ〉インフィニティ・ホワイト | 手当たり次第の本棚

〈神曲奏界ポリフォニカ〉インフィニティ・ホワイト

ポリ白の特徴のひとつは、これが「学園もの」でもある、という事だろう。
1巻目では、「意地悪なお嬢様と、優しいお嬢様と、下働きの主人公」という、ある意味「王道」の、少女学園ものの様相を呈していたわけなのだが、2巻に入ると、それなりに友人も出来、自分の制服も出来、そのかわり新たな「敵」も出てくるけれど、味方もいるので、心強いという、またまた「王道」の展開になっているようだ。

イメージとしては、『まりみて』と『のだめ』を足して2で割ったところへ、ポリフォニカという炭酸をどーっと注いだという事になるんだろうか。
(ちょっと、違うかもしんない)。

物語的には、主人公スノウドロップの、失われた「過去」にも、ぐんと近づいて、しかもそれが、精霊島の「巫女姫」の選出に、大きく絡んできそうだというのが、先への期待感を煽る。

ともあれ、主人公(そしてまわりの人々)が、着実にステップアップをしていくところが見られるのは、成長物語としても良い作品になっていると思うのだ。

ステップアップといえば、ジョッシュのストーカーをしている精霊の正体は、2巻で明白になる。
いやあ、なかなかの設定がありました、という事なのだが、今回は、彼女に限らず、けっこうな大物ぶりをにおわせる精霊が、何柱も新登場し、人間・精霊とも、一挙にキャラクターが増えている。
その中で、スノウの契約精霊となっているブランカよりも、なぜか目立っているのが、牛のミノティアス。
それもそのはず、作者は牛萌えらしいという情報が、ポリ赤のあとがきに出てきてたり……。
牛萌えですか。そうですか。
……ポリフォニカは牛がトレンドらしいよ。

いやまあ、それは、半ば冗談としても(たぶん……たぶん、冗談……)、ミノティアスというキャラクターが、シリアスにヘヴィになりがちな部分を、うまく解きほぐしていると言っても、過言ではない。
彼が気に入ったなら、親愛の情をこめて、「ミノティー」と呼んであげましょう( ‥)/


高殿 円, きなこひろ
神曲奏界ポリフォニカ インフィニティ・ホワイト
GA文庫
2006年11月30日初版