ハリー・ポッターのワイルドカード | 手当たり次第の本棚

ハリー・ポッターのワイルドカード

全7巻中、6巻まで既刊となった〈ハリー・ポッター〉シリーズのうち、最も謎めいたキャラクターといえば、やはり、スネイプ先生ではなかろうか。
はたして彼は、ハリーの味方なのか。
それとも、ヴォルデモートの手下なのか?
そもそも、困難な二重スパイという仕事を担っている人であり、実際にはどちらの陣営に属しているのか、いまもって、なんとも言えない。

魅力的だ。

性格的に難がありはするものの、スネイプは非常にすぐれた魔術師であり、
更に、その「どちらの陣営ともつかぬ」という特徴は、スネイプの大きな強みであり、弱みである。
いわば、トランプでいえば、赤陣営でも黒陣営でもない、ワイルドカード、すなわちジョーカーなのだ。

そういえば、トランプは、タロットカードが変化して作られたものだという。
その由来に従えば、ジョーカーは、タロットでいう、大アルカナの「愚者」に相当する。
愚者とは、知識を探求してアルカナ、つまり「真理へ至る道」をたどる旅人であり、また、足許の危険に気づかずして遠くを見つめる者だ。

実は、このシリーズの、裏主人公は、スネイプなのではあるまいか、とも思えてしまう。