『岩石と鉱物』 やっぱり、石が好き | 手当たり次第の本棚

『岩石と鉱物』 やっぱり、石が好き

石に興味を持ったのって、すごく小さい頃だ。
まだ幼稚園に行くか行かないかって頃。
近所のおにいちゃんと一緒に、どこかで石を拾ったんだな。
川っぺりだったかもしれない。
「とらちゃん、ほら、この石、緑色だろ? きれいだろ?」
おにいちゃんが見せてくれた石は、深い緑色。
そうだな、抹茶みたいな色をしていた。
全体じゃなく、断面だけだったかもしれない。
「いいなー、いいなー」
でも、幼い日の私は、そういう石をみつける事が、できなかった。

それより、かなり後。
当時の「おにいちゃん」よりもうちょっと大きくなって、たぶん、そうだな、小学校の5年生くらいの時。
学研の「科学」ってあるだろ。
あれの付録に、鉱物標本がついてきた事があった。
いろんな石のかけらがあわせて1ダースくらい入っていて、その中に、瑪瑙があったのな。
オレンジ色で、白いしまがあって、つやつやしていて、そいつがすごく気に入ったのだ。

石は、おもしろい。
きれいな石とか、おもしろい形の石をみつけたら、まるで宝物みたいだ。
宝飾品にされた宝石ってやつも、それはそれ、きれいだけれども、やっぱり、「石」が良いな。
水晶の結晶なんてやつにも魅せられるし、なかでも憧れだったのは、晶洞。
こんな不思議で面白いものが、他にあるか?
なんのへんてつもない石を、まっぷたつに割る。
すると、その中には、びっしりと水晶が結晶してるのだ。
まるで、卵から生まれるのを待ってるみたいだ。
ああ。すげえよな。ほんとに。

幸か不幸か、パワーストーンブームなんてものがあって、子供がこづかいでも買えるくらいの金額で、いろんな「石」がバラで売られるようになった。
いやあ、つい、買っちゃうんだよね(笑)。
「パワー」は、どうでもいいんだけど、色とかつやとか形とか。
ひとつひとつ違うのが、面白いんだよ。
けっこう、集めました、たまりました、全部ちゃんと持っています(笑)。
宝物は、直径3cmくらいの水晶玉かな。
それに、昔もらったレッドタイガーっていう石。
磨いてないんだけど、濃いれんが色のジャスパーの中に、ヘマタイトとパイライトが細い縞を作っている。
やっぱ、しましまの石ってのもいいよなあ。
「とら」だからかな(笑)。


著者: スー フラー, 砂川 一郎
タイトル: 岩石と鉱物