『絵説 空手道』 独習できるか?できないか? | 手当たり次第の本棚

『絵説 空手道』 独習できるか?できないか?

「空手ってどういうもん?」
という、一般的な疑問に答えてくれるのが、この本だと思う。
拳の握り方から、基本動作、基本技、入門~初・中級くらいまでの型、空手の歴史まで、1冊の中でわかりやすく説明されているからだ。

著者は、稲門会会長をつとめる内藤武宣であるから、従って、これは松濤会の空手。なんなら、全空連の空手、と言ってもいい。
フルコンタクト制をとる極真会とは違い、寸止め空手とも言われる。
あ。松濤会だとかは、本には書いてありません( ‥)/
著者の来歴、本の内容から、そのように判断されるんだけど、間違いはないはずです(笑)。押忍。

さて、著者は、序文で、空手は一人でも練習可能な運動である、と述べる。
う~む。そうですかね……。
著者の論拠は、
「空手は、野球などのように多人数で行うものではない」
「空手は、剣道やゴルフのように、特別な用具を必要としない」
「空手は、四畳ほどのスペースがあれば、型を独習する事ができる」
というところにある!
また、ひとつの型を演じるには1分ほどしかかからないため、運動する時間のない現代人に最適である、ともいう。う~む~む~。

正直に、言おう(笑)。
多少なりとも、道場で直接空手を習った事があるならば、それは、まったく、正しい!
別に、空手着を着てなくたって、型はできるんだしね。
襟を取る必要のある柔道と違って、空手の場合、道着を用いるのは、あくまでも、耐久性が問題だからだと思う。激しい動きだから、服、消耗するんだよ。
実際、私は、1年半くらいで空手着をかなりボロボロにしました。

でも、全くそういう経験のない人が、この本だけを頼りにして、空手を独習するのは、かなり大変だ。
それこそ、文章を何度も熟読して試行錯誤する必要があるだろう。
不可能、とは言わない。
でも、自分じゃ気づかない点も多いので、やはり、空手をやるなら、まず、どこかの道場の門を叩くべきだな。

空手をすでにしている人が参考書にするには、良いと思うよ。
段をめざして練習しています、という白帯~茶帯くらいのレベルだったら、絶対、有用なところがみつかるはず。
「型」のところで説明されているのは、当然、松濤会の型であって、他の流派には通用しないけれども、型の動きの説明は、参考になるところだって、ある。

型以外の基本動作、連続技の構成、組手の応用などは、流派にこだわらず、読んで損はない。

いずれにせよ、大切なのは、
「読む」
「記憶にとどめる」
「実践してみる」
この段階を全部踏む事だ。


著者: 内藤 武宣
タイトル: 絵説 空手道