『トリポッド 1 襲来』 もうひとつの宇宙戦争 | 手当たり次第の本棚

『トリポッド 1 襲来』 もうひとつの宇宙戦争

表紙がね、とってもポップなんだよ。赤と黒だけで描かれていて、ソフトでポップなフォントの『トリポッド』というタイトルの下、黒くてアナクロで見慣れた(といってもSFファンにとってはだけどね)、タコ頭三本足触手付きの機械がぬっと立っている。

「あ~、あれね。ウェルズの『宇宙戦争』でしょ」
実際、『宇宙戦争』は、古典とも言えるSF作品だし、それに着想を得た二次作品も、たくさん世に出してるのだ。これもそのひとつだろう、と、手に取った時は、単純に考えた。

確かに、いきなし世界各地へどすんどすんと三本足のタコ頭の機械が下りてくる。これは、『宇宙戦争』とおんなじだ。ところが、連中、「殺人光線」ビビビッ で人を殺したりしないのだ。しかも、あっけなく、ミサイルの攻撃でやられちゃう。ここらへんから、様子が変わってくる。

なんと奴らは、『宇宙戦争』とは全く違う方法で、地球征服を開始したのだった。

手法は奇想天外というほどではないし、経過には、ハインラインの『人形つかい』を連想させるところもあるけれども、子供視点で語られる侵略の様子は、なかなか生々しく、逃避行にはどきどきし、行き詰まるようなスリルを憶える。

但し、これは、当初書かれた三部作の、前日譚にあたるのだそうだ(但し現在はこれを入れて四部作として扱われている)。なので、この後どうなるかは、隔月で発行されるらしい新刊を待たなくてはならない!

SFとはいえ児童文学だし、1冊が薄いので、すぐ読めちゃうから、読者としては、まとめて出すか、さっさと次を出せーと言いたいところ(笑)。そういえば腰巻には、「ウォルト・ディズニー映画化決定!」なんて書いてあるけど、いつ映画になるんだろう? アニメか? それとも、実写か?
文庫本の、とってもポップなイラスト(イラストレーターは西島大介)で物語が頭に入っちゃうと、ディズニーアニメになるのは、ちょっとつらいかなあ。

トリポッド 1 襲来』 (ジョン・クリストファー作 ハヤカワ文庫SF)
『宇宙戦争』 (H・G・ウェルズ作 創元SF文庫)
『人形つかい』(ハインライン作 ハヤカワ文庫SF)