今日も練習に集中できずにいました。
笑顔で接してくるカナに対してつい避けてしまう。
わたし…、なんてイヤな娘なんだろう…。
自分で自分がイヤになる…
部活の終わり際にわたしは監督に残るように言われた。
今日は学校が休みなので、ジャージ姿のまま部室で監督がくるのを待っていました。
待つ事15分、監督が現れました。
「ゴメン、ゴメン、待たせちゃったね。」
と言うと早速、話しを切り出しました。
「最近どう?…、キャプテンになって半年ちょっとが過ぎるけど、どんな感じ?」
わたしはその質問に即答できないでいると…監督が、
「キャプテンって難しいって顔してる。」
「琴巻はなんでも一人で背負い込み過ぎなんだよ。」
「授業中でも心ここに有らずって感じで上の空だし…」
「さすがに琴巻の様子がおかしいのは誰が見たってわかるよ」
と言うのです。
そう監督は先生でもあるのです。
磯村今日子先生、国語担当の教師。
非常にきれいでカッコイイ、見るからに大人の女性って感じの人で、
わたしをキャプテンに指名した張本人なのです。
わたしが黙ってうつむいていると、監督の方が更に切り出したのです。
「実は井村加奈子のことだけど…」
『…!』
わたしはその言葉に反応した。
「その様子じゃあ、知ってるようね…」
監督の言葉にわたしはゆっくりとうなずいた。
監督は話しを続け…、
「そしたら話しが早い、井村加奈子の指導を琴巻にまかせるわ。井村はお前のことを…」
『無理ですっ!』
わたしは大きな声で叫び監督の言葉を遮った。
その声にいつもは冷静な監督も驚きを隠せないようでした。
わたしは咳を切ったようにこの前のカナをとのできごとや今までのごとを話しました。
途中、涙があふれて話しの内容も支離滅裂です。
それでも監督は黙って、最後までわたしの話しを聞いてくれました。
そして…
『わたし…キャプテン向いてないし…、それどころかバスケやる…資格ない…かも…。』
わたしがそうつぶやくと監督は突き放すようにこの言葉を言ったのです。
「じゃあ、辞めれば。。。」