神との対話28(軽減税率は謎かけ編) | 西澤ロイ(コトバの宇宙探検家)

神との対話28(軽減税率は謎かけ編)

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<登場人物>
神さまとお話ができる
(神さまの声が頭の中に響く)
女の子。年齢はヒミツ…
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新聞記事より:





ねえ、神さま。



「何だね?」



消費税が10%に引き上げられるのに

伴って、軽減税率が導入されますよね。



「そうだね。あなたにしては、

珍しく真面目な話題だ」




もちろんですよ。

消費税率が引き上げられてしまうのは

大問題ですから。



でも、新聞で読んだんですけど

消費税が8%に軽減されるケースが、

もはや“謎かけ”レベルで

ワケわかんないんですけど!



「まあ、そう感じる人が多い

だろうね」




これ、なんとかならないんですか?



「前にも言ったが、神である私は

あなたたちに自由を与えた。

好きなものを好きなように創造

できる自由をだ。

だから私はそこに口も手も出し

たりはしない」




はい……。

そこは理解しているつもりなん

ですが、実際に運用できるのかな

って心配になるくらい複雑すぎて…。



「あなたの本心としては、

こういうことだろう?」




え・・・?



「“政府の人たち、ちょっと

アタマ悪いんじゃないの?”」




どきっ。


まあ、神さまにはお見通し

ですよね。



「そうだ。私は全知全能だからね



そんな全知全能の神さまだからこそ、

この問題を解決する方法を

ご存知ではないかと思いまして…!



「あなたが問題だと言っているのは

複雑すぎることだろう。

軽減税率を導入する以上、無理だ」




えぇーっ、そうなんですか?



「この宇宙に存在する全てのものは

つながっている。

全ては1つなのだ。

それをどこかで線引きしようと

すること自体に無理があるのだよ」




・・・詳細プリーズです。



「よろしい。

例えば、あなたたちは“動物”と

“植物”という言葉を使っている。

しかし、そこに境目などないのだよ」




え、ないんですか?

だって、動物は動くけど、

植物は動かないですよ!



「典型的な動物や植物を例にするならば

そういう特徴はあるだろう。

しかし、究極的には境目はないのだよ。

例えば、“サンゴ礁”は動物と植物の

どっちかね?」




植物ですよね?



「いや、あなたたちの分類では

動物だよ」




えっ、動物なんですか!?



「他にも例えば“食虫植物”という

虫を消化してしまう植物も、動物と

植物の間にいるね。

まあ別に、あなたたちの専門家が

サンゴ礁をどちらに分類しようと、

あなたがサンゴ礁をどちらだと思おうが、

神である私には関係ないのだ。

全ては1つという真実が存在する

だけなのだから」




そうなんですね……。

でも、もうちょっとうまい

線の引き方みたいなものを

神さまならご存知ありませんか?



「うーん……。

これから導入される基準は

なんだったかな?」




1つは“酒類・外食を除く飲食料品”

が軽減税率の対象となります。



「そう、“酒”とそれ以外の飲み物を

分けるから、“みりん”がややこしい

ことになるのだ」




でもだったら、みりんは特例として

8%にしたらいいじゃないですか。



「では、料理酒として売られている

日本酒はどうだろう?

ちなみに、アルコール依存症の患者は

非常にリーズナブルな料理酒や、

場合によっては、みりんにも手を出して

しまうことを知っているかな?」




なるほど……。

そう考えるとお酒になってしまうから、

8%に軽減はしづらいですね……。



「それが線引きの難しさなのだよ。

“飲食料品”と定義するから、水道水は

10%で、ミネラルウォーターは8%に

なってしまう。

また、“外食以外”なんて言うから

イートインとか、食べ残しの持ち帰り

なんてややこしい話が出てしまうのだ」




じゃあ、もうちょっと生活に即した形で

例えば“生活必需品”を軽減すると

いうのはできないんでしょうか?



「それはもっと大変だよ」



そうなんですか…。



「なぜなら、何が生活必需品なのかを

定義しないといけなくなるからね。

簡単な例を挙げるなら、メガネはどう

だろう?」




必要そうに思えますけど。



「じゃあ、伊達メガネは?」



要りません。



「コンタクトレンズ」



必要だと思います。



「じゃあ、サングラスは?

カラコンは?」




うっ。

微妙ですね。



「そうだろう。視覚が敏感過ぎる人に

とっては、サングラスは欠かせない

だろうが、一般的な人にとっては

必需品とまでは言えないだろうね。

他にも化粧品とかね」




絶対必要です。



「女性はそう思う人が多いだろうね。

でも、化粧水とファンデ、口紅や

マスカラを同じように扱ってよいの

だろうか?

また、男性用の化粧品はどうだろう?」




もし、ファンデとか口紅、男性化粧品は

生活必需品じゃないって、政府が定義

したら大変なことになりそうですね…。



「なかなか察しが良いじゃないか」



えへん。



「だから、シンプルにしたければ、

軽減税率をやめるのが一番だろうね」




そっか、神さまは、軽減税率の導入に

反対なんですね。



「いや、そうではない。先ほども言った

が、私はあなたたちに自由を与えた。

だから神である私は、賛成も反対も

しない。求められれば、今している

ように情報を提供することはあるがね。

あなたたちがやろうとしている線引きは

この宇宙の仕組みから考えると大変な

ことなのだ。

本来、全ては1つなのだからね」




政府の人たちが、頭が悪いわけではない

ことは分かりました。


でも……

線引きなんて、いつもやっていること

じゃないんですか?

高齢者だけでなく、後期高齢者という

言葉もいつの間にかできましたし、

子ども手当は“子ども”って線引き

しているわけだし……。


なんかうまく質問できないんですけど

なんで消費税の時だけこんなに問題に

なるんでしょうか?



「いい質問だ。

なかなか鋭いポイントを突くね」




えへん。



「その答えは、“税金”だからだよ。

“犯罪”と比較したら分かりやすい

だろう。例えば、ある人が他人を刺して

殺してしまったとしよう。

罪には例えば殺人罪、傷害致死罪、

過失致死罪などがあるが、その人の

罪と量刑、刑期は、様々な調査や

何回もの裁判を経て、時間をかけて

決定される。

たくさんの線引きがなされている中で、

“どこに属するか”を、すぐに決める

ことは困難だからね」




はい、ここまでは理解しました。



「でも、税金はどうだろう?

客が商品を買うタイミングで、

税金が8%なのか10%なのかが

決まっていないとマズイだろう。

“どこに属するか”を最初から

細かく決めておかざるを得ないのだ。


だから、全ては1つであるという

宇宙の本質が浮かび上がる。

線引きをしようとすることで、

物事が複雑化してしまうのは

避けられないことなのだよ」



(※これはあくまでもパロディーです)