神との対話20(雨。もう、うんざり編) | 西澤ロイ(コトバの宇宙探検家)

神との対話20(雨。もう、うんざり編)

電車の車内広告より:






ねぇ、神さま!

この雨、なんとかなりませんか?



「なんとかって、どういう意味だね?」



こんなにジメジメしていては気が滅入って

しまって大変です。



「そうか、気が滅入るのか。」



はい。洗濯物も全然乾かないし、布団も

ちょっと湿気(しけ)って来ました。



「確かにそうだね。」



なんとかなりませんか?



「布団がかね?」



いやいや、この天気に決まってるじゃないですか。



「天気がどうしたのかね?」



だーかーらー!

こんな雨天続きだとうんざりだから、

何とかしてくれませんか!?



「あ、そういう意味か。

よし、わかった。」



ホントですか?



「では、今日の湿度を99%から98%に

下げてあげよう。」



えぇー・・・(-_-#)



「そうか、嫌か。

では、今日の降雨量を1mm減らして

7mmにするのでどうだろう?」



そんなの、意味ないですよ!



「なんだと!」


(ゴゴゴゴゴ.....!)



こ、この地響きみたいな音は一体・・・!?



「あなたは、神に対して

“こいつ、埒(らち)あかねー”と思うだけに

とどまらず、言ってはいけないことを口にしたね。」



あわわ、ごめんなさい!!!



「農家の人たちが心待ちにしている、天の恵み

である雨に対して、自分のエゴで文句を言うだけ

に飽き足らず、わがままを聞いてもらっている

ことに対して、感謝の心が全くない。

その上、言うに事欠いて“意味がない”だと?」



失言でした!

ごめんなさい!

神さま、許して下さい!!!



「いや! 赦す。」



お願いします、神さま!

豪雨とか、稲妻を食らわすとか、

天罰はどうかご勘弁を!


・・・あれ?



「赦すと言っているじゃないか。」



え、ゆるしていただけるのですか?



「前にも言ったが、神は全てを赦すのだよ。」



“いや!”って言われたから、てっきりダメなのか

と思いました。



「それはね、前に説明したが、

“許す”と“赦す”は違うからだよ。詳しくは

第14話の『優先席編』 を見直してみなさい。」



はい。

いやー、それにしてもビックリしました。



「何がかね?」



神さまの怒りっぷりですよ。

事前の打ち合わせ一切なしですから、頭では

コントだと分かっているつもりでも、全然

そういう対応ができませんね。



「“敵を欺くには、まず味方から”と言うじゃないか。

ガチのコントだからこそおもしろいのだよ。」



確かにそうですね。

さすが神さま。



「エヘン。」



いよっ、天才!



「いや、天才どころか、全知全能だからね。」



あ、そうでした。



「ところで。私は全知全能だからこそ、別に“雨”が

あなたの本当の問題ではないことを知っているよ。」



ドキッ!


そ、その通りです。



「話してごらん。」



はい。職場の後輩のM子のことなんです。



「M子さんは、グアムに旅行中だね。」



はい。この忙しい時期に、1週間も休みを取る

なんて、まったく勘弁して欲しいですよ!



「何が問題かね?」



こんな忙しい時に休まれると、そのシワ寄せが

来て、こっちはいい迷惑ですよ。



「いい迷惑なのであれば、いいんじゃないの?」



いやいや、良くないですよ。

Good迷惑ではなくBad迷惑です。



「そうか。ではM子さんにそのまま嫉妬して

いればいい。」



え?

私、M子に嫉妬なんてしてませんけど?



「むふふ(キラーン)。」



神さまの目の奥が光ったの、これで2回目ですね。



「私は全てお見通しなのだよ。」



でも私、別にグアムに行きたいと思いませんし、

どうしてM子に嫉妬するんですか?



「知りたいかね?」



はい。



「耳が痛くなるような真実が含まれるが、

本当に知りたいかね?」



や・さ・し・く、お願いします。



「あなたがなぜグアムに行きたくないかというと、

同僚から“いい迷惑だ”と陰口を叩かれたくない

からだ。」



アタタタ、、、神さま、既に耳が痛いです。



「さらに言えば!」



えー、追い打ち!?



「あなたは人の役に立っていないと、

“自分には価値がない”と思っている。

だから、働き続けないと不安が出てくるので

1週間も休めないのだ。

そして、1週間も休みを取っているM子の

ことが羨ましいのだよ。」



アタタタタ。。。。

神さま、優しくってお願いしたのに・・・



「まぁ、コントのお約束だね。」



ですね。



「あなたがグアムに行きたくない理由は、

職場で必要とされ続けていたいのだよ。

そして、文句を言われるのではなく、

文句を言う立場に身を置くことで、自分の

優位を保っていたいのだ。そうしないと

劣等感が発動してしまって、自らの価値を

感じられなくなってしまうからね。」



なるほど...

自分でも分かっていなかった心の中を

見事に言い当てられて、ちょっとスッキリかも。


でも、なんか私、歪んでますよね。。。



「別に歪んでいるわけではない。

ちょっと勘違いしているだけだ。

自分の素晴らしい価値に気づかずに“価値がない”

と思い込むのは、よくある勘違いだね。」



どうやったら自分の価値に気づけますか?



「じゃあ、ちょっと文句を言われてみるかい?」



絶対にイヤです!



「ほら、勘違いをしている。」



え、何がですか?



「もし、役に立たない、価値のない人間だったら、

どうしてそもそもクビになっていないのだろう?」



確かに・・・でも、法律もあるし、

簡単にクビにできなくありませんか?



「じゃあ、もしその法律がなかったらあなたは、

自分はもうクビだと思うかね?」



そんなことはないですね。

でも、忙しい時期に1週間も穴をあけたら

まずいですよ。



「価値のない人間なら、文句さえも言われないよ。

むしろ、休んでくれて助かったと感謝される

かもしれない。」



私、そんなにレベル低くありません。



「つまり、価値があるということだね。」



あるんですか?



「休んで文句を言われるということは、戦力として

認められていることの裏返しだよ。」



はぁ、なるほど・・・


なんか、分かる気はするんですけど、

どうもスッキリしないんですが・・・



「それは、あなたが前提にしている

“定義”の問題だね。」



どういうことですか?



「“価値のある人間”とは、どんな人だと思う?」



うーん。。。

いないと仕事がうまく回らなくなるような、

頼り甲斐のある人かなぁ・・・




「なるほど。

ということは、休みは取れないね。」



え?



「だって、その人がいないと仕事が回らないのだろう?

だったら常に働いていないといけないことになる。

“馬車馬コース”行きが確定だ。」



ガーン。。。


確かに・・・



「まあ、そういう定義をしているせいで、

ワーカホリックになってしまっている人は少なくない。

役立つことをしていない自分には“価値がない”と

思ってしまうのは、実はかなり大きな自己否定なのだ。」



一体、どうしたらいいですか?



「赤ん坊を考えてごらん。彼らは何もできない

から、何の役にも立たないね。

むしろ、泣いたりおもらしをしたり、

周りに迷惑をかけまくりだ。

でも、赤ん坊に価値がないと思うかね?」



いえ、ものすごくあると思います。

だって、存在自体がかわいいですもん。



「じゃあ、大人であるあなたに価値は

ないのだろうか?

もうかわいくないのだろうか?

それとも、もうスレてしまったのか?」



ちょっと、神さま!

いくらコントでも、はっきり言いすぎです!



「今のは冗談だが、価値がどこにあるのか、

よく考えてみるべきだろうね。」



赤ん坊は確かに何もできないですけど、

可能性に満ちあふれているじゃないですか。

私なんて、大人になったものの、できないこと

だらけで、大した可能性も残されていませんから・・・



「The possibilities are infinite.」



富○通ですか!



「そう、可能性は無限だ。」



本当ですか?



「あなたが諦めない限り。

まだ人生の半分も生きていないのに、諦めて

しまうのはちょっと早すぎると思わないかい?」



えっ、半分も生きてないんですか!

美人薄命って言うから、あと数年しか残されて

いないのかと思ってました。



「どれどれ。」



出た、アカシック・リーディング!



「まだ50年以上あるみたいだよ。」



えっ、そんなにあるんですね。。。



「薄命どころか、かなり厚いようだ。

それに、あなたの厚いところはそれだけじゃない。

だから安心しなさい。」



そっかー、それは安心です。

でもそれ、ホメられてるんでしょうか?

なんか、ツラの皮とか、お腹まわりとか言われてる

気がするんですが・・・



「ほら、そのー・・・あれだ!

あなたは自分の愛情が薄っぺらいものだとは

思わないだろう?」



まあ、そうですけど。



「まあとにかく、一件落着ということで、

安心しなさい。」



なんか、ごまかされた感じがするけど・・・

まあいいか。


ところで、神さま。



「なんだね?」



私にまだまだ可能性があるかもしれないことは

ちょっと分かりました。

でも、その可能性を発揮するためには

何から始めたらいいですか?



「その機会は既にあなたに与えられている。

自分の身の周りにある、できることから始めるといい。

もしそれがコピー取りでも、お茶くみでも、大したことなく

思える作業であっても、何でも構わない。

それをやらせてもらえることに感謝して、周りの人たちの

ために、心を込めて行ないなさい。

それは既に、その場に居合わせているあなたにしか

できない仕事なのだから。

価値があるとかないとか、考える必要もない。

ただ心を込めて丁寧に行なえば、そこに価値がある

ことは、誰の目にも自明となるだろう。」



(※これはあくまでもパロディーです)