「『ありがとう』と言われたらどう返す?」
と問われたら、どう答えるだろう?
「『どうしたしまして』だよ」
うん、間違ってはいない。
間違ってはいないのだけれど…
普段使ってますか?
日常生活において、「ありがとう」と言われたら私はなんと答えているか…
「いいえ」
「はーい」
「いえいえー」
「だいじょぶよ~」
「ほーい」
「こちらこそ~」
こんな言葉が多い気がする。
北海道の友人なら
「なんもだよ~」
なんていう言葉が返ってきたりもする。 かわいいv(笑)
『どういたしまして』って、普段はあまり使っていない。
でももちろん、まったく使っていないわけではない。
ではどういうときに使っているのか。
大きく3つのパターンがあるような気がする。
【パターン1】
子どもに対するとき
「ありがとうは?」と、子どもに話しかけたことのある方は多いだろう。
何かをしてもらったり、モノをいただいたりしたら 「ありがとう」。
そして、子どもが「ありがとう」を言ってくれたら
それを受け取った大人はきっと、こう返す。
「どういたしまして」
まるで「『どうもありがとう』『どういたしまして』はセットなんだよ」と
教えているかのように。
“まるで”
…そう、『どういたしまして』は、あまり子どもに強要しない。
少なくとも、「どういたしましては?」と子どもに言っている大人を私は見たことがない。
「ありがとうは?」は、たくさんあるけれど。
『ありがとう』は、言う側も言われる側も、とても気持ちがいい。
でも子どもとの間に
「ありがとう」と共に「どういたしまして」が存在しているときもまた、
私はその2人の間にとても優しい空気が流れるのを感じる。
【パターン2】
外国人に対するとき
例えば日本人に道を聞かれたとき
「ありがとうございます」と言われても「どういたしまして」と返すことは少ない。
「いいえ」とか 「お気をつけて」とか
そういう言葉は返すけれど。
でも外国人に道を聞かれて、カタコトの日本語で「ありがとう」と言われたら
私は間違いなく「どういたしまして」と返している。
これは、パターン1にも書いた“「『ありがとう』と『どういたしまして』はセット”
ということと関係があるように思う。
日本に慣れていない外国人旅行者でも
せめて「ありがとう」と「すみません」は言えるようにしておこう
と準備してくる方は多い。
逆の立場だったときは私もやっぱり、そういう準備をしていた。
そんな彼らがガイドブックなり日本語会話集なりで勉強するとき
その本に載っている「ありがとう」の返答は、
9割9分『どういたしまして』だ。
だからそこで「いいえー」とか「いえいえー」とか返しても
彼らには伝わらない。
『あなたが言ってくれた「ありがとう」はちゃんと受け取ったよ』
という気持ちが、伝わらないと思うのだ。
だからこそ、私は彼らには「どうしたしまして」を返す。
【パターン3】
改まったとき
では普通の日本人同士…大人同士の間では
まったく「どういたしまして」と言わないかというと、そんなことはない。
何か改まって 「本当にどうもありがとう」という言葉をもらったとき
その時に応じて 「どういたしまして」と返す。
これは年齢の上下と関係があるわけではない。
「あなたのおかげで本当に助かりました。 どうもありがとう」
こんな気持ちを伝えたとき。
「どういたしまして」と返している。
そう思いませんか?
『ありがとう』に対する言葉は『どういたしまして』。
それは間違っていはいないけれど。
よくよく考えるとこんな世界が広がっている。
「どういたしまして」って、興味深いコトバね。