「道具としての経営理論」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

道具としての経営理論/津崎 盛久

¥1,680
Amazon.co.jp


★★★☆☆


様々な経営理論の凝縮本。個人的に得るものは少なかったですが、入門書としては良いと思います。

人材マネジメントで取り上げているケーススタディはグーグル。経営戦略も実行力がなければ画餅に終わる。そして最終的に実行するのは人材。


以下、人材マネジメントについて、備忘。


組織はビジョン、経営理念、経営戦略に従う。

会社のビジョン・価値観と個人の価値観の一致が理想。組織と個人のベクトルが同じ方向をむいたマネジメントの構築を目指す。

グーグルの人材マネジメントの根底にあるのは、「ヒト」を信頼し、リスペクトする考え方。全てのスタッフの人間性を信頼し尊重すること、自己実現の場を提供することで、人間の最も高い欲求「自己実現の欲求」を満たす。


■グーグルで働く10の理由(下記URLより抜粋)
http://www.google.co.jp/intl/ja/jobs/lifeatgoogle/toptenreasons/

1.世界中の人々のために。
毎日膨大な数のユーザーが訪れる Google は、情報と人を結びつける、日常生活に欠かせないサイトになりました。

2.人生をちょっとだけ充実させることができます。
みんなが関心を寄せていることや信頼しているサービスに、真正面から貢献できる機会はなかなかありません。

3.やる気を尊重する環境を提供します。
専門領域を伸ばす機会の提供、英会話レッスンの助成金、マッサージやビリヤードなどの設備など、社員のやる気をサポートする環境を提供しています。

4.仕事と遊びは両立すべきです。
コードを書きながら楽しむことだってできるはず。

5.社員を誇りに思っています。
Google は社員への思いを隠すつもりはありません。健康保険および各種保険、厚生年金、退職金、ストックユニット、フレックスタイム制などさまざまな福利厚生を提供しています。母親の育児産休はもちろんのこと、父親も出産、育児休暇を取得することができます。

6.革新は Google の DNA。
今日の時点で最高とされる技術でも、まだ改善できるはずです。社員は勤務時間の 20% を Google のミッションに基づいた「本人が純粋にやりたいこと」に充てるよう奨励しています。例えば、製品の開発や改良、新しいプログラミング言語の習得など、通常の担当業務とは離れたプロジェクトを楽しめます。

7.異なった背景や文化を持つ仲間たちと仕事ができます。
多種多様な人がお互いを刺激し合うことで、相乗効果が生まれてくるのです。

8.グローバルな視点が得られます。
Google はさまざまな国、さまざまな言語で利用されています。私たちはグローバルに考え、行動し、働きます。この世界がもっと住みやすくなるよう、地球規模で貢献したいと思っています。

9.まだだれも足を踏み入れたことのないことを体験できます。
世界には、まだまだ解決できる課題が数多く残っています。すべてはあなたの想像力から始まります。

10.より働きやすい環境をと、食事も無料で提供。
おいしい昼食、夕食、軽食やドリンクがすべて無料です。






◆参照:ソーシャル攻略に専念できないグーグル、ペイジ体制の1年

こちらの記事によれば「ペイジ氏がCEOになって、社員からは「自由な雰囲気が消えた」「会社が窮屈になった」といった不満が漏れている。経営資源をソーシャルビジネスへと集約させるペイジ流経営の影響であることは間違いない」とのこと。

相次ぐサービスの廃止・撤退は正しい戦略だとは思いますが、社員をリスペクトする考え方とは相容れない部分も出てくるでしょう。また、“全ての情報を整理する” “邪悪にならない”といったグーグルのビジョンやポリシーもぶれてきた感がとてもあります。会社と従業員のベクトル合わせは大丈夫なのでしょうか??