「資本主義と自由」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆


1930年代からの計画経済・共産主義の潮流に対し、市場経済・自由主義を徹底的に主張したフリードマンの1962年に出版された著書。今読んでも結構参考になるヒントが豊富。約50年前と比べて現代はより競争促進的な市場経済化が進んでいると思っていたが、この本の主張は現代の社会システムからみても過激である。逆に、世の中は50年前と比べても、既得権益が根強く残っていて、案外大して進んでいないのだな、と思った。



以下、備忘録

■政府が行うべきではないこと
1.農産物の買取保証価格制度
2.輸入関税・輸出制限
3.産出規制
4.家賃統制
5.最低賃金・法定金利
6.産業規制・銀行規制
7.テレビ・ラジオ規制
8.社会保障制度(特に年金)
9.特定事業・職業の免許制度(例えば医師免許)
10.住宅政策
11.徴兵制
12.国立公園
13.郵便
14.有料道路

■その他提言
・累進課税の廃止(基礎控除を上回る部分に一律税率、負の所得税あり)
・法人税の廃止(利益は株主に還元し株主が納税)
・教育バウチャー制度(学校に補助金を出すのではなく個人に補助金を出して自由に使ってもらう)



文明の偉大な進歩が権力を一手に握る政府の下で生まれたことは、未だかつてない。(中略)ニュートン、ライプニッツしかり、アインシュタインしかり、そしてボーア、シェークスピア、ミルトン、パステルナーク、ホイットニー、マコーミック、エジソン、フォード、ジェーン・アダムス、ナイチンゲール、シュバイツァー・・・。知の新しい地平を切り拓き、文学の新しい境地、技術の新しい可能性を開拓し、あるいは苦しむ人々を救った偉大な人たちの中で、政府に命令されたという人は一人もいない。偉大な業績を生み出したのは個人の才能であり、大勢に逆らって貫き通された不屈の意志であり、そして個性や多様性に寛容な社会であった。P.27

ここ数十年に政府が乗り出した新事業の大半は、ことごとく目標達成に失敗している。なるほどアメリカは進歩を続けてきた。(中略)しかしこれらはすべて、自由市場を通じて展開された個人の創意工夫や意欲の果実であって、政府の施策はすこしも貢献しておらず、ただ邪魔しただけである。P.362

政府の施策が持つ重大な欠陥は、公共の利益と称するものを追及するために、市民の直接的な利益に反するような行動を各人に強いることだ。(中略)政府が依って立つ価値観は、当事者の価値観ではなく、第三者の価値観なのだ。(中略)人類が持っている最も強力で創造的な力の一つ、すなわち何百何千万の人々が自己の利益を追求する力、自己の価値観にしたがって生きようとする力の反撃に遭うのである。P363



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