「奇跡の経営」 | Jiro's memorandum

Jiro's memorandum

泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆

コントロールを放棄し、民主的な組織運営を実行する。社員の知恵を最大限活用する。

セムコ社の経営の考え方は、Webの潮流にそのまま当てはまる。気がする。
社員が自分で仕事やスケジュールを決める、全員で採用面接をする、などグーグルの経営とも共通点がある。

「今」の常識ではかなり違和感のある経営スタイルだが、将来的には十分現実的なものになるのではないかと感じた。




以下、備忘録


働いているのはおとなです。そのおとなである作業員が、どうして業務に支障をきたし、自分達の仕事を危うくするような行為をするというのでしょうか? P.67

社員が製品やプロジェクトに興味を持たないビジネスは、どんなものであっても絶対に成功しない P.90

責任あるおとなであることに自信を持って信頼する P.116



成長は会社をダメにする?

「君達は、一体どこまで深く森の中を進むことができると思うかね?」正解は「森の中間点」でした。森を越えてしまったら森から離れてしまうからです。P.162

オックスフォードがそれほど成功しているのなら、どうしてワシントンD.C.に分校がないのでしょうか?
オーケストラが120人のミュージシャンで成功するのなら、600人に増やしたほうがよりよいのではないか?
P.163

そのビジネスの自然な成長を超えてまでも成長をする必要があるのでしょうか?P.163

組織は、小さな組織のまま事業領域を絞ることで、何世紀にも渡って存続できるものなのです。いわゆる老舗と言われる会社はすべてそれによって何百年も存続しているのですから。P.166



相手(クライアント)に率直に向き合うことが、結果的に最も生産性を高める方法であると実感しています。(中略)われわれの取り分が、多すぎると思いますか? であれば、どれくらいが妥当だと思いますか? われわれはどうすべきだと思いますか? このように、これまで幾度となく、クライアントにわれわれの利益予想を見せてきました。P.220



現代の会社が採っている人事部に任せた人材獲得のシステムは、まだ100年しか経っていません。それに対してセムコ社が採っている方法は、10万年前から続く、ある種族が新しいメンバーを迎え入れる際に用いてきた方法なのです。石器時代には、新参者を受け入れるときに、すべてグループの承認に基づいて決定がなされたのでした。P.247



「直観」、「幸運」、「失敗」、「セレンディピティー」。これら四つはビジネス上最も大切なコンセプトです。(中略)もし、コロンブスやニュートンから何かを学ぶとすれば、これら四つこそが、グッドカンパニーからエクセレントカンパニーになるための本物の方程式だということです。P.339



「変化する会社は、過去のしがらみを逃れる」(中略)変わり続けることこそが、解決策となるのです。P.342

構造的な変革は、常にスタッフレベルからボトムアップで起こり、トップダウンでは起こりません。その理由は、経営陣が、自分に責任がおよぶより、スタッフにその責任を押し付けたいからです。P.342



セムコ社にとっての最も貴重な資産は、社員の知恵そのものです。そして、わが社の成功は、社員の成功のおこぼれを預かっているに過ぎない P.350




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