★☆☆☆☆
団塊世代の人、「バカの壁」
「国家の品格」
世代の人、による今のウェブ社会の見方はこういう感じなのかな、というのが本書を読んだ全体的な感想。
IT革命とは中央集権型の産業社会から分権型のネット社会への変化と考える筆者は、一般ユーザーの参加を促すWeb2.0のインパクトについて肯定的ではある。
しかしながら、Web2.0の本質を「一種のIT業界のなかの権力闘争に他なりません」(P.66)とか、Web2.0は貧富の格差拡大をもたらすから問題だとか、「中高年を押しのけようという排除意識・年齢差別意識」(P.168)があるとか、ちょっと感覚がずれている気がする。
オープンなWeb2.0は自由競争を促進するから競争激化は避けられないし、自由競争が結果的に世の中を豊かにするものだと思う。
また、ウェブ上の国際共通語として「漢字」に可能性があるとか、今後は地域SNSが注目されそれを担うのは団塊世代だとか、こういう発想もありだと思うがなんだか年寄りくさい。
本書のすべてを否定するわけではない。本書が指摘する、グーグルのような機械的情報処理の限界や少数意見が埋もれてしまう「沈黙の螺旋」などは、ウェブ社会の今後の課題であろう。もっとも、いずれも目新しい意見ではない。
生物情報、社会情報、機械情報、の話は、よくわからなかった。
- 西垣 通
- ウェブ社会をどう生きるか