真宗法語法話(101)自分のことしか 考えない人 それは誰? それは私 | おじゅっさんのおはなし

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~高照寺住職の真宗法話~


自分のことしか 考えない人
それは誰? それは私


2月末から3月初めにかけての8日間、布教のため九州(鹿児島・熊本・宮崎)に赴きました。


布教にあたっては体調が万全でないといけません。出発の数日前、娘がインフルエンザにかかっていたので、私だけ用心して別の部屋で寝ていました。


九州に出発した日の夜、家から連絡があり、母の体調がすぐれないと。どうやら感染したようです。母には留守中の月参りを数件ずつ頼んであったので、あわてて九州からご門徒さん宅にお詫びの電話をいれたことでした。


そして次の日、今度は妻が、続いて息子が・・・。私以外の家族全員が順番にインフルエンザにかかったのでした。


そしてなによりも不安に思ったのは、私自身が感染してはいないかということでした。インフルエンザにかかるということは、布教できないということを意味するからです。


しかし数日が過ぎても、体調に変化がなかったのでひと安心。


布教を終え、家に戻ったときには、家族もすっかり良くなり、元気いっぱいで出迎えてくれました。「インフルエンザにならなくて良かったね」と。


その言葉にハッとさせられました。実際、私はどれだけ家族のことを心配していたのかと。私が案じていたのは、自身の健康状態、月参りのお詫び、布教できるかどうか、と自分のことばかり。


九州では「仏法によって、私の本当の姿があきらかになる」とお話しさせていただいていたにもかかわらず。家に戻ってようやく、話の中身を自分自身でいただくことができたのでした。